従業員らの電子メールやチャット、立ち話といった意思疎通の実態を分析することで、無駄な会議や電子メール、研修を職場から減らそうという動きがある。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)は、ニューヨーク市の事務所を市内で移転する前に、社員約500人のうち呼びかけに応じた20%に検知器内蔵のIDバッジを支給し、6週間にわたって装着してもらった。
同社はそのバッジを使って、オフィス内における社員らの動きを追跡し、だれがだれとどれくらい会話したかを追跡した。旧オフィスの間取りが社員同士の交流や業務全般に与える影響を調べるのが目的だった。
その結果、多くの社員が上司への報告に時間を使いすぎ、それが班内での情報の流れをじゃましていることが判明した。また、不特定の同僚と頻繁に立ち話をする社員は、長時間の会議に使う時間が平均5時間少ないこともわかった。日常からの社員間会話が会議の代わりを果たしていることの裏付けだ。
同社は、それらの調査結果をもとに、新オフィスにラウンジを設け、無料の朝食や昼食、コーヒーを提供した。社員間会話の量を増やすためだ。2016年11月の移転以降、オフィス全体で社員の連帯感が高まり、業務効率が上がったという。
社員間会話を増やす動きはすでに強まっている。カリフォルニアの関係性分析会社シンディオ(Syndio)は、おもなコミュニケーションの流れから取り残されている可能性がある社員を見つけるソフトウェアを法人向けに開発している。
同ソフトウェアは、電子メールの受送信データを集めたり、同僚のことをどう思うかをほかの社員に尋ねたりして社内の人間関係とそれぞれのつながりの強さを点と線で示す相関図を作成する。関係が少なくつながりが弱い社員は、点が小さく示される。プライバシー保護の観点から、電子メール・メッセージ内容は調べられない。
かたや、マイクロソフト傘下のヴォロメトリクス(Volometrix)では、工学班が会議や開発事業に追われて苦労していた際に、オフィス365の電子メールの動きやカレンダー内の催事予定をマイアナリティクス(MyAnalytics)というソフトウェアで分析し、社員の時間の使い方や社員同士がいかに時間を奪い合っているかを調べた。
マイアナリティクスは、たとえばチームワークを乱すパターンを発見すると対策案や代替案を当該人物に助言する。
ヴォロメトリクス創設者によると、それをもとに会議時間を組み直すことで、従業員たちがだれにもじゃまされない時間を週に2時間つくり出した。その結果、総勢50人の開発班の生産性は5%上昇した。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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