サウジ記者の失踪でソフトバンクに危機 〜 シリコン・バレーで孤立する恐れも

ソフトバンク(SoftBank)の株価が15日の東京市場で6%以上も急落した。いまや世界的な技術関連複合大企業にのし上がった同社の株価急落について、CNBCやブルームバーグ、ロイターといった米英の主要報道会社らが大きく報じている。

CNBCによると、ソフトバンク株価急落の理由は、サウジアラビア人の男性記者がトルコのサウジアラビア総領事館に入ったっきり行方不明になったためだ。

世界の主要メディアは、サウジアラビアの有力皇太子が、反体制派記者のジャマル・カショギ氏を同総領事館内で拘束してそのまま殺害し、遺体をいくつかのカバンに分けて持ち出して遺棄したことを示唆する材料もある、と報じている。

報道によると、サウジアラビアの政府関係者数人が、カショギ氏の総領事館入館日と同じ日にトルコ入りし、それら全員が大きめのカバンを持って総領事館からそろって外出し、その日のうちに出国した記録がある。

ソフトバンクの孫正義会長兼社長は、傘下のベンチャー・キャピタル投資基金「ソフトバンク・ヴィジョン・ファンド(SoftBank Vision Fund=SVF)」を立ち上げた際に、サウジアラビア政府傘下の投資基金から450億ドル(約5兆円)を獲得した。それに加えてムハンマド皇太子は、孫氏が構想中の第二のSVF立ち上げ計画にも450億ドルを投じる姿勢を最近に明らかにした。

そのため、サウジアラビアが今回のジャーナリスト失踪事件について米国と西欧主要国から批判と圧力をすでに受けつつあることから、サウジアラビア資金なしでは成り立たないといわれるSVFが、非常に大きな危険要因を抱え込むことになる、とみられる。

SVFは、米オフィス共用サービス最大手のウィーワークや、インドの電子商取引大手フリップカート、ウーバー、中国の配車サービス大手ディーディー・チャクシン、グラブ、オーラといった世界的な多くの急成長新興企業らにサウジアラビア投資基金と共同 投資している。

「ソフトバンクとサウジアラビアから資金を集めた技術新興企業群や投資会社らには現在、きわめて大きな衝撃が走っている」とコンステレーション・リサーチの創設者兼主任分析家のレイ・ワン氏は指摘する。

カショギ氏の行方不明および殺害疑惑とサウジアラビアの関与が裏付けられることになれば、SVFからの投資を拒否する投資会社や新興企業らが続出すると予想される。

ブルームバーグによると、テンプル大学日本校のジェフ・キングストン教授は、孫氏が今後、「シリコン・バレーで避けられることになるだろう」という見方を示した。自国の記者を殺害するような国の公的投資基金から投資を受け入れるベンチャー・キャピ タル会社や起業家はシリコン・バレーにはいない、とキングストン氏は述べた。

米国のドナルド・トランプ大統領は、カショギ氏の失踪についてサウジアラビアが関与を否定していることについて、信じがたいという考えを明示し、証拠が出てくればサウジアラビアへの制裁に踏み切る姿勢も示唆した。

それに対しサウジアラビア政府は、同件をめぐって他国から制裁を受ければ報復する構えだ。

【https://www.cnbc.com/2018/10/15/softbank-shares-fall-on-concerns-of-ties-to-saudi-money.html】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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