自動運転車の開発競争や試験運用、雇用やタクシー料金への影響といった話題が連日報じられる中、社会学の学術誌アナルズ・オブ・ツーリズム(Annals of Tourism)はこのほど、自動運転車が性産業や犯罪の温床になるという専門家の懸念を伝えた。
ワシントン・ポストによると、自動運転車が観光をどのように変えるか、アナルズ・オブ・ツーリズムが世界各地で調査したところ、多くの学者や専門家が「自動運転車の普及によって移動売春が横行する」と予想した。
調査に協力した研究者らによると、移動サービス業は自動運転車によって人件費を削減できるため、便利さの向上に力を入れるようになる。その結果車内が快適になり、それが車内売買春につながると考えられる。また、旅行者や出張者が携帯電話アプリケーションで自動運転車と性サービス提供者を呼び出す「時間貸し移動ホテルとしての自動運転車」が登場することも予想される。
米国内では、ネバダ州の一部を除いて売春は違法。しかし、自動運転車とスマホを組み合わせることで法の網をすり抜けて売春を始める個人や業者が出てくるのは必至だ。
さらに、自動運転車の普及が薬物の違法取引やテロリズムといったほかの犯罪を誘発させる恐れもある。研究者らは報告書で、政府当局は自動運転車の普及で生まれる危険性を認識してすぐに対策を講じるべきだと結論づけた。
一方、車載カメラや録音機能によって犯罪を抑止できるという見方もある。
そのほか、レストランが自動運転車サービス業者に高額料金を払うことで観光案内に自身のレストランが優先されるよう車載システムのアルゴリズムが変更されるなど、競争上の不平等が生まれる可能性もある。こうなると資金力のない業者は不利になり、廃業に追い込まれる事態も考えられる。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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