マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究班は17日、暗視ゴーグルのような赤外線画像装置よりはるかに強力な暗視機能をもたらす新型チップを開発したことを明らかにした。
同チップを応用すれば、たとえば、完全なる暗闇のなかでも壁を透視して犯人や被害者を見つけることも可能になり、警察や救助隊、兵士に革新的機能をもたらす可能性がある。
暗視機器はこれまで、極低温冷却を必要とし、しかもかなり重くなり、開発費も高額で、作動も遅いことから、非実用的だった。
アントレプレナー誌によると、MITの研究班が今回開発したのは、グラフィーン(graphene)と呼ばれる素材が使われたチップで、「それを用いた赤外線検知器は、スマートフォンやラップトップに搭載できるほど小さい」と共同研究主任のトーマス・パラシオス氏は説明している。
グラフィーンは、非常に軽量でありながらも鉄の100倍の強度がある。また、赤外線を検知する素材としても知られる。
研究班は、微視的な検知器チップをグラフィーンでつくり、さらに、信号の伝達にもグラフィーンを使うと同時に、エアー・ポケット内にチップをつるす設計によって空冷を可能にした。その結果、小型化と冷却が実現した。
試作品の実験では、暗闇のなかで人の手のかたちを検知できた。目標は、解像度を大幅に上げることで応用範囲を広げることにある。
パラシオス氏によると、グラフィーン製のチップや検知器は、たとえば、車のウィンドシールドに埋め込まれることで、進行方向の道路を見ながら状況を認識できる暗視システムが考えられる。
あるいは、スマートフォンに搭載することで、暗視した状況をスマートフォン画面に映し出すことも可能となる。
いずれによせ、同研究はまだ初期の実験段階で、実用化にはしばらくかかるもよう。
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