第41回 大きく変わる、日本の教育!大きく変わる、日本の大学入試!

文/松本輝彦(Text by Teruhiko Matsumoto)

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 日本の大学入試が改革され、日本の学校教育の「学力の内容」が大きく変わる可能性が高くなりました。

新テストの提案

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 中央教育審議会による、高校・大学での教育と大学入学者選抜を大きく改革する案が12月22日に文部科学大臣に答申されました。大学入試の改革の中心は、大学入試センター試験の代わりの、2つの新しい試験の提案です。
 「高校基礎学力テスト(仮称、以下『基礎テスト』)」は、「高校での必修科目の学習達成度」を判定するもので、希望者が高校2年生から複数回受験できます。その成績は、進学(特に推薦・AO大学入試)や就職に当たって活用されます。
 「大学入学希望者学力評価テスト(仮称、以下『評価テスト』)」は、大学入学希望者が複数回受験可能で、「大学入学後の勉学に必要な学力」を評価する試験です。現在のセンター試験は高校での学習教科別の「知識・技能」中心の試験ですが、この評価テストは、それらに加えて、「思考・判断・表現」する力を評価するため「合教科」「総合」の試験と、答申で具体例を挙げて述べています。

変わる学校教育

 今回の答申が日本の教育全体に最も大きな影響を与えるのは、日本の大学入試を、従来の暗記(知識)中心から受験生の学習スキルを見抜く内容に大きく変えることになる、「評価テスト」の実施です。「評価テスト」の求める、小論文・ディスカッション・プレゼンテーションなどの学習スキルを伸ばす指導が、従来の教科学習に加えて、高校での教育に新しく導入されることになるのです。
 その学習スキルは、現地校でのエッセイ指導のように、小学校高学年から始めて中学・高校へと何年もかけて、子ども達にやっと習得させることができるのです。高校教育の方向転換は、小学校・中学校の学習内容・指導にも、現在の入試勉強同様に、大きな影響を与えることになります。

北米の子どもへの影響は?

 北米で教育を受けている日本の子ども達には、今回の答申は「大歓迎」するべき内容です。「評価テスト」の求めるものは、日々、現地校での学習で学んでいる学習スキルだからです。「2020年度からの実施」と聞いて、「まだ子どもが小さいから」と安心しないでください。実は、この改革の対象になるのは「現在の小学6年生」からなのです。これぐれも、毎日の現地校での学習をおろそかにしないことです。

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松本輝彦 (Teruhiko Matsumoto)

松本輝彦 (Teruhiko Matsumoto)

ライタープロフィール

海外・帰国子女教育カウンセラー。北米の日本人の子どもの教育サポートに30年以上携わる。最近は、北米の保護者向けの教育講演会・情報誌・インターネットを通じての教育情報の発信や教育相談を中心に活動。また、北米の子どもたちが現地校で身につけている「宝(アカデミックスキル)」の教育を日本の学校で広げるために、日本の中学・高校・大学の授業や講演会も活発に行っている。

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