第165回 ポケモンGO

文/日比野泰(Text by Hiroshi Hibino)

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 今巷で大人気の、ポケモンGOというスマートフォン(以下スマホ)用ゲーム、私は正直それ程興味はなかったのですが、パートナーがかなりハマっており、色々聞かされたり、付き合わされたりした中で、素直に感動した事や興味深いと感じた事を、書かせてください。
 前身はGoogle内のスタートアップで、昨年独立したNiantic社が開発していたIngressという、スマホ用のオンラインの位置情報のARゲームで、新しい地域を冒険し、運動にもなり、他のユーザーとも繋がりを持つというコンセプトに、現実世界とポケモン(ポケットモンスターの略で、漫画のキャラクター )との共存体験を実現する構想として、Googleや任天堂も出資しました。
 既にご存知の方も多いとは思いますが、一応ゲームの概要を説明すると、プレイヤーは、ポケモントレーナーとして、現実世界でポケモンを探して歩きまわり、ポケボールと呼ばれるカプセルを投げてポケモンを捕獲し、最終的に約150種類ものポケモン図鑑を完成させるというゲームです。
 ポケボールは、マップ上に現れるポケストップと呼ばれる特定の場所で、様々な道具と共に手に入ります。ポケストップは、世界中の名所やスポット以外にも、Ingressでユーザーから集められたデータも活用され、例えば近所でもマニアックなアートスポット等もあり、行ってみると、「ヘェ〜こんな所あったんだ」的なプチ感動をする事もあるとか。
 図鑑を完成させるために、ポケモントレーナーとしてのレベルを上げる必要があり、たくさんのポケモンを捕まえたり、予め3つのチームに分かれたトレーナー同士が、特定の場所にあるポケジムで、敵チームとポケモンを戦わせ、鍛えるなどします。
 このゲームは意図されたコンセプト通り、ユーザーをとにかく歩かせて、運動不足を解消させます。因みにパートナーは、始めてから約3週間で、112km歩いており、私もそこそこ付き合わされました(汗)。 世の中の肥満問題の解決策として、誰かが考えたのなら、本当に見事で、引き籠りがちだった人が、外に出る様になったというニュースも多々見ました。

現実のコミュニティを作る

 老若男女、人種問わず、それこそ障害者までもが、共通の話題で盛り上がれるのは、実に素晴らしく、今の大統領選の某候補が、恐怖や憎悪、偏見を煽り、国民を分断させるような動きをひたすらとっている様な世の中において、このゲームのコンセプトは、実に平和的で、健全かつ気持ちのいい世界感だなと思いました。
 パートナーがポケジムでバトルをする際に、10歳位の見知らぬ坊やと味方チームになったそうです。周りにいたティーン達が敵チームと分かり、明らかにがっかりされたらしいのですが(笑)、いざ戦いが始まると、パートナーのポケモンは強かったらしく、ティーン達から「うわっレベル22だ、誰だ強ぇ、勝てね〜」と思わず動揺が聞こえ、この味方の坊やが急に誇らしげになり、ハイタッチして来たとか。
 会社の近くで、同じくポケモン探しをしていた自閉症の子供に、熱く話しかけられたり、見知らぬユーザー同士でも、年齢差も40歳以上ありそうでも、ごく自然にこのゲームネタで、軽い会話が生まれている光景も何度も見ましたが、これって凄いなと思いました。

マーケティングにも有効だが

 ポケストップには、当然ユーザーが集まりますし、お金でも買えるルアーを付ける事で、より多くのポケモンが集まるため、色んなビジネスが客寄せにも使えます。日本では既にマクドナルドと提携している事がバレていますが、ビジネスによっては、新たな集客ツールとしても十分に活用できそうだと、当初から思っていました。
 ただ先日、仕様変更があり、パートナーが激怒していたのですが、今迄あったポケストップやポケジムの多くが、急に消されたのです。またポケモン捕獲の失敗率も、あからさまに上がりました。恐らくこの大反響に乗じて、収益モデルの本格化が一気に進み、有料サービスの強化が、提供者側からはかられているのでしょう。
 ゲーム自体は 無料なので、ゲームを優位に遊べる有料アイテムの購入(In-app-purchases)が主な収益源なのですが、不具合もあり、返金を要求しようにもその手段がないなど、本来ならゲーム市場から撤廃させられてもおかしくない程、未整備の一面もあり、そこへ来て、ファン心理を踏みにじる仕様変更なので、今後が気になります。
 以下、パートナー談です。「時代なのか大人になったからなのか、見知らぬ人は、警戒するのが当たり前になったが、子供の頃は、周りは皆ポテンシャルの友で、分け隔てなく、どこか繋がりも感じていた。この夏の1カ月位、まるで昔の夏祭りのように、子供から大人までもが、夜遅くまで夢中になって、しかも安全に遊べた感覚が、本当に懐かしかった。ありがとう。仕様変更前のゲーム」(その後、ポケモン捕獲の失敗率は、改善された様です。)

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日比野泰 (Hiroshi Hibino)

日比野泰 (Hiroshi Hibino)

ライタープロフィール

Artisan Crew代表。静岡大学工学部卒。2001年に渡米し、ロサンゼルス・エリアにてArtisan Crewを設立。チーフエンジニアとして日米の企業向けに基幹システムを多数開発。次第にニーズと共に、Webマーケティングを中心とした、ブランディングやアメリカ進出サポート、バイラルマーケティングなど、広告代理店としてのサービス提供へと展開するにつれて、Webプロデューサーやクリエイティブディレクターとして、分析・戦略の立案からチームのマネージメントなどの役割を担当。年商2億円増のSEO、月商10万ドル超のECサイト、シェア1位を獲得するブランディング、ファン数10万人超えのSMM、売価の1%以下のCPAを実現するPPC広告など、米系企業とも対等以上に戦える希少な日系企業として、成果の伴うサービスをモットーに企業マーケティングにも貢献。

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