2020年の税制改正の主な項目は以下のとおり。税務申告書を作成する前に読んでおこう。

1．経済的救済給付金
受け取った経済的救済給付金は連邦所得税では課税されないが、リカバリーリベートの控除は減る。

2．リカバリーリベートの控除
経済的救済給付金をまだ受給されていない場合は、$1200（夫婦合算申告者の場合は$2400）に、資格のあるこども1人につき$500を加えた額を請求できる。

3．慈善寄付
標準控除をとりスケジュールA（フォーム1040）で項目別控除をとらない場合、別枠でフォーム1040のライン10bにて上限付き控除ができる。

4．仮想通貨
2020年に仮想通貨を含む取引を行った場合は、フォーム1040の1ページにある質問に回答する必要がある。

5．概算額控除の増額
2020年、概算額控除が以下のとおり増加。

6．特定の個人に対するコロナウイルスの減税
コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法（CARES）により、スケジュールSEまたはスケジュールHを提出する特定の個人は、2020年3月27日から12月31日までの期間に課せられる社会保障税の50％の支払いを延期することができる。

7．言語設定の変更のリクエスト
スケジュールLEPは、納税者が英語以外の言語でIRSから書面による連絡の受け取りを希望することを選択できる新しいフォーム。日本語もある。

豆知識

•2017年より自分の申告記録をIRSから入手するための本人確認方法として、新たにPINは発行せず、前年度の調整後所得金額または前年度に選択したPINを使用することを義務付けている。

•IRSのオンラインアカウントにアクセス：身元を認証する必要がある。連邦税のアカウントに安全にログインするには、IRS.gov/Accountにアクセスすること。オンラインで税務記録にアクセスすることもできる。

•申告義務の要件は、居住者の場合、全世界で一定額以上の所得があること。金額は、申告資格（Filing Status）および年齢により異なる。たとえば、2020年12月31日時点で夫婦双方が65歳未満であれば、夫婦合算申告をする場合は2万4800ドル以上、夫婦個別申告をする場合は5ドル以上の所得があると申告義務がある。

•扶養控除の対象となっているこどもでも、ある一定の所得がある場合は単独で納税者として申告する必要がある。

•Form W-2や Form 1099の書類は、翌年の1月31日までに支払人から個人に発送される。

豆知識

•配偶者およびこどもの米国納税者番号の申請の際には、パスポートまたは旅券所持証明書の提出が必要。

•旅券所持証明書は、在米日本国大使館または総領事館で取得できる。居住地域を管轄している在米日本国大使館または総領事館は、以下のサイトで確認。
www.mofa.go.jp/mofaj/annai/zaigai/list/n_ame/usa.html

•IRS Taxpayer Assistance Centerへ直接出向いてパスポートの認証をしてもらうことも可能。IRSに出向く際には完了した申告書持参も必要。諸条件を満たせば、IRSのAcceptance Agentを通して米国納税者番号を取得することも可能。

•日本では、在日米国大使館または総領事館で取得できる。事前に在日米国大使館または総領事館のサイトで予約が必要。

•米国納税者番号を2013年1月1日以前に取得、または過去3年間連続して税務申告書に記載しなかった場合は、更新義務が必要となる。

豆知識

•4月15日が週末や祝日となる場合は、次の事業日が申告締切日になる。締切日の消印が有効。毎年4月15日、主要な郵便局は深夜12時まで納税者の対応に当たる。

•国外から送付する場合は、期限までにアメリカのIRSに必着。

•税務申告書を郵送する場合で特に税金の追加支払いを必要とする場合は、提出遅延、支払い遅延に課せられる罰金と利子を回避するため、Certified Mail（書留郵便）を利用することをおすすめする。

•延長手続きをした場合、税金の支払期限は当初の申告締切日となる。申告期限延長の申請をしても、確定申告額の90%が納税されていない場合は申請が却下される。

豆知識

•無申告年度や不正、虚偽申告年度には時効が適用されない。

•総所得の25％を超える過少申告がある場合、時効は3年から6年に延長される。

•賃貸不動産や証券の購入価格など、減価償却や将来の課税所得の計算に必要となる書類は、同資産を保有している限り保管する必要がある。

•Form 8822“住所の変更”が提出されない限り、最後に提出された税務申告書の住所がIRSからの通知の住所となる（Kevin O’Connell, CPA, JD, a principal of Somerset CPAs, A BDO Alliance member firm）。