一度は見ておくべき アメリカの建築7選

TEXT by Haruna Saito

アスペン美術館
Aspen Art Museum

Colorado
www.aspenartmuseum.org
©︎ Jimmy Baikovicius/flickr

コロラド州のスキーリゾート、アスペンのダウンタウンに位置するアスペン美術館は、日本人建築家、坂茂の設計による作品。木造の板を格子状に編み込んだような外観が特徴的だ。坂茂が大切にしているのが、“建物と周囲の環境との調和”。このアスペン美術館も、レンガ造りの建物が多いアスペンの町並みと周囲を囲む豊かな大自然との調和を意識して設計されている。

エントランスを入ると、まずは屋上へと続く大階段が設けられている。美しいアスペンの山々を一望できる屋上庭園からの景色を楽しんでから、ギャラリースペースへと続く階下へ降りていく導線となっているのだ。これはスキーリゾートという土地柄を考慮して、山の頂上から滑り降りていくスキーの導線をイメージして構成されているのだそう。

建物内部に随所に見られるのが、坂茂の建築で頻繁に用いられている紙管。もともとは被災地のシェルターを建設する際にローコストで扱いやすい素材として使い始められ、今となっては坂茂のシンボルとなっている。実は、外観を構成する格子状の部分も合成樹脂加工を施した段ボール材でできている。他にも段ボールのような素材で作られたベンチなど、至る所で紙材が用いられている点にも注目して欲しい。

   

ジョージ・ピーボディ図書館
George Peabody Library

Maryland
www.library.jhu.edu/library-hours/george-peabody-library/
©︎ Matthew Petroff/flickr

ボルティモアのジョンズホプキンス大学には、世界でもっとも美しい図書館の一つに数えられているジョージ・ピーボディ図書館がある。「本の大聖堂」という別称が付いている通り、厳かで美しい大聖堂のような雰囲気の建築だ。内部には1階の閲覧スペースを囲むように5層の書庫が頭上へとそびえ、各階には繊細な装飾が施された鋳鉄製のバルコニーが設けられている。格子状の天窓からは十分な自然光が差し込み、全体的に落ち着いた空間が演出されている。もともとボルティモアの慈善家、ジョージ・ピーボディが所有するピーボディ研究所の図書館だったが、その後、市に寄贈されて現在の大学図書館となった。設計はボルティモアの建築家、エドマンド・G・リンドとピーボディ研究所の初代学長、ナサニエル・H・モリソン博士による共同作。

ここには18世紀から19世紀にかけての蔵書が3万冊以上所蔵されている。蔵書は貸し出し不可のコレクションだが、来館者はオンラインで検索して館内で閲覧することができる。図書館は一般に公開されており誰でも入ることができるが、立ち入りできるのは1階の閲覧スペースのみ。中世ヨーロッパに迷い込んだかのようなドラマチックな内観は、一見の価値がある。

   

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