一度は見ておくべき アメリカの建築7選

TEXT by Haruna Saito

ロビー邸
Frederick C. Robie House

Illinois
flwright.org/researchexplore/robiehouse
©︎ David Arpi/flickr

シカゴ郊外に建つロビー邸は、フランク・ロイド・ライトが設計した個人宅。フレデリック・C・ロビーのために設計し、1910年に完成した。この建築物は、フランク・ロイド・ライトが確立したプレーリースタイル(草原様式)と呼ばれる設計様式の到達点といわれている。彼は大地に溶け込むように建物の高さを抑え、地面と水平に伸びる設計にすることで自然との融合を目指した。さらに、窓を多く設けて内部と外部を繋げる開放的な空間を実現するため、これまでの手法を崩して間取りを大胆に変える工夫を施した。

日本を訪れたことのある彼の建築設計は、日本文化や日本住宅の影響も受けているといわれている。ロビー邸の内部に入ってみると、格子模様を基調としたインテリアデザインが随所に見られ、窓やキャビネット、家具類にも日本らしさが感じられる。

ロビー邸ではオーディオによる内部・外部のセルフガイドツアーのほか、専門スタッフによるガイド付きで普段公開されていないプライベートスペースまで見学ができるツアーなどが実施されている。訪れる際は、より詳しく学べるガイドツアーを付けることをおすすめする。

   

シアトル中央図書館
Seattle Central Library

Washington
www.spl.org/hours-and-locations/central-library
©︎ Ming-yen Hsu/flickr

シアトルのダウンタウンにあるシアトル中央図書館は、その奇抜で先進的な見た目から世界的に評価されている建築物。オランダ出身の建築家、レム・コールハースらが率いる建築設計集団OMA(Office for Metropolitan Architecture)がシアトルの建築事務所LMNと共同で設計したこの建物は、積み重なった本をイメージしてデザインされたのだそう。外観はガラス張りの建物にひし形のフレームが重なり、ショッピングモールのような洗練された印象を人々に与えている。内部には高い天井から自然光が贅沢に差し込み、明るく開放的な空間が広がる。特に注目して欲しいのが、「ブックスパイラル」と呼ばれる書架スペースだ。6階から9階にかけて緩やかなスロープが各階を繋いでおり、000~999まで連続した番号で並べられた書籍が螺旋状に並んでいる。来館者はここで、書籍を途切れることなく順に見ていくことができる構造となっている。

シアトル中央図書館は11階建てで、書籍の所蔵数は約100万冊。そのほか275人収容できるオーディトリアム、会議室、イベントスペースなどがあり、さまざまなイベントやクラス、ワークショップが年中開催されている。

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