フラッキングを安全に〜ハリバートン、無害の液体開発
- 2013年2月13日
- 米国ビジネス
石油やガス業界は、フラッキング(水圧破砕)と呼ばれる最新の採掘技術をめぐる環境汚染の懸念を解消するため、害のない液体の開発に取り組んでいる。
AP通信によると、フラッキングでは、砂や有害な化学剤を混ぜた専用の液体を地中に大量注入して岩盤に閉じ込められた石油や天然ガスを採掘しているが、エネルギー大手ハリバートン(テキサス州)は、食品に使われる材料だけを用いたフラッキング用液体「クリーンスティム(CleanStim)」を開発した。他の企業も同様の液体を開発している。
環境保護団体は業界の動きを歓迎しているが、ペンフューチャー(PennFuture)のジョージ・ユゴビッチ代表は「フラッキングに関する環境懸念は破砕用の液体だけではなく、塩分を大量に含む排水や大気汚染もある」と指摘する。環境防衛基金(EDF)のスコット・アンダーソン上級顧問は「完全に無害なフラッキンング液の開発が可能かどうかまだ分からないが、少しでも害を減らそうとする最近の業界の努力には希望が持てる」と話した。
政府当局は、総体的にフラッキンングによる水や大気汚染の問題はまれと判断しているが、環境団体や一部の科学者は、この問題の研究はまだ不十分と懸念している。
ハリバートンのクリーンスティムは、既存のフラッキンング液の多くに比べると割高だが、数字が低いほど優秀と見なされる同社独自の化学物質評価システムではゼロと評価されている。フラッキングの化学液が飲料水に混入する例は今のところ確認されていないものの、EDFのアンダーソン氏は「最大の汚染リスクはフラッキングそのものではなく、有害な液体が注入前に地上でこぼれることだ」と説明した。
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2024年4月29日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
米商務省、TSMCのアリゾナ工場への投資を提案 〜 米中緊張悪化を背景にチップの国産化に重点
-
ディープフェイク、金融サービス業界をいよいよ標的に 〜 生成人工知能による音声模倣で詐欺急増は必至
-
2024年4月25日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
広告嫌いのテスラが一転、積極展開
-
ビットコイン半減は価格にいかに影響するのか 〜 最高値更新から乱高下、次の半減期が目前に
-
2024年4月22日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
ボルティモアの橋崩落、輸出・小売業者に影響
-
米国のMBA課程、人工知能分野の教育を積極化 〜 会社で求められる技能に学生側も関心を強める
-
2024年4月18日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
テスラ、急速充電網を開放~EV普及の節目となるか
-
2024年4月15日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
EV生産コスト、27年にはガソリン車より安く~ガートナーが予想
-
人間の労働力の方が人工知能より安価 〜 MITの研究、雇用機会の大部分は人工知能にまだ奪われないと結論
-
ドローン配送に現実味~運用範囲広がる