12年の米石炭輸出、過去最高の1.2億トン

 シェール革命による天然ガスの値下がりや環境規制の強化で、国内では石炭の人気が落ちているが、海外では需要が高まっており、2012年は米石炭輸出量が推定1億2000万トン超と過去最高を記録した。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、昨年の石炭輸出量は09年の2倍。主な輸出先は、新興経済の中国やインドではなく、英国、オランダ、イタリアを中心とする欧州となっている。

 米国は長年、製鉄に使われる良質の冶金用石炭を輸出してきたが、近年は火力発電所のボイラー用炭が伸びている。英国の場合、天然ガスより石炭の方が安いため、発電用の石炭消費量は12年7〜9月期に前年比で約50%も増加した。これに伴い、石炭積出港の1つバージニア州ハンプトンロード港では、ボイラー用炭の割合が2年前の10%から12年9月現在で30%超に拡大している。

 環境保護団体は、米国は石炭の輸出によって温室効果ガス排出量を海外に移していると批判しており、グリーンピースやシエラクラブなどは西海岸各地で進行中の石炭輸出用ターミナルの建設計画に反対している。

 しかし、ピーボディ・エナジー、アーチ・コール、アルファ・ナチュラル・リソーシズといった石炭大手にとって輸出は内需低迷を補う手段の1つで、アーチの輸出量は11年の700万トンから12年はほぼ倍増、過去最高の1360万トンに伸びた。

 12年1〜11月の米石炭輸出高は138億ドル。うち38億ドルがボイラー用炭で、米国鉱業協会(NMA)は、世界の石炭需要は今後5年間に10億トン以上増加し、80%以上をボイラー用炭が占めるようになるとみている。

 ただ、米国の石炭輸出が増え続けるかどうかについては疑問の声もあり、英国における環境基準の強化や段階的な石炭工場の閉鎖で15年には安い石炭の優位性が薄れるという見方もある。米政府の予想では、欧州の経済低迷もあって13年の輸出は前年比減が見込まれている。

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