コネクテッドカー(つながる車)に大規模なサイバー攻撃があった場合、米中枢同時多発テロ(9.11)に匹敵する数の死傷者が出る恐れがあるとの予測を、消費者団体コンシューマー・ウォッチドッグ(本部カリフォルニア州)が発表した。
デトロイト・フリー・プレスによると、49ページに上る同団体の最新報告書は、それを防ぐために車のインターネット接続を切断できる費用50セントの「キル・スイッチ」を搭載するよう、自動車メーカーに呼びかけている。
報告書は、2015年に研究者が「ジープ・チェロキー」をハッキングし、遠隔操作でセントルイスの高速道路を走らせ続けた有名な実験などいくつかの事例を挙げながら「何百万台もの車が同じソフトでネットにつながることは、一度の攻撃で同時に何百万台もの車に影響を及ぼせるということだ。ハッカーはわずかなリソースで車の通信インフラに大規模攻撃を仕掛け、何千人もの死者を出し、最も重要な輸送形態を乱す可能性がある」と指摘した。
また「専門家も、複雑な情報・娯楽装置を介して安全上重要な部品をインターネットに接続することはセキュリティ上の欠陥だと考えている。この設計のためにハッカーは遠く離れた場所から車を乗っ取り、操作できる。22年までに米国の新車の3分の2以上で、安全上重要なシステムが通信網とつながり、危険なハッキング・リスクの対象になる」と説明した。
報告書は、導入が広がっている無線更新(OTAアップデイト)についても、ソフトウェアの更新、バグ(欠陥)の修正、システムのセキュリティ強化が可能な一方で、新たな弱点を生む危険性があり、当局への問題通達をさせない方法を提供するとも指摘した。
自動車工業会(AAM)の広報担当者グロリア・バーキスト氏は、(同報告書は)近くラスベガスで開かれるサイバーセキュリティ会議に向けて関心を引こうとする試みではないかと話し、業界のセキュリティ対策を擁護した。氏はさらに「サイバーセキュリティはメーカーやサプライヤーだけでなく消費者にも責任がある。電話と車の適切なペアリング、レンタカー使用後の電話情報削除(ペアリングした場合)、電話や車に求められているメインテナンスやアップデイトなど、十分なサイバー対策を行うべき」と話した。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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