死の谷に入ろうとしているエンジン部品メーカー

ロイター通信によると、自動車エンジン部品メーカーは、深刻な死の谷に入ろうとしている。EVが本格的に普及するまでの数年間、エンジン部品メーカーは、販売減少に悩まされながら、新しい機械に多額の投資をしなければならない危険な状況に直面している。

ヴィテスコ・テクノロジー・グループAGやシェフラーといった大手エンジン部品メーカーはすでに電動化への移行に投資しているが、中小サプライヤーは、展望のない戦いに、適応するか死ぬかのどちらかである。コンサルティング会社アリックスパートナーズのグローバル共同リーダーであるマーク・ウェイクフィールド氏は、「エンジン部品メーカーは、電気自動車への移植性が最も低いため、この移行で最も大きな痛みを伴う」と述べる。

大手自動車メーカーは、EVモーターが内燃エンジンの3分の1しか部品がなく、労働力が少なくて済むため、雇用が大幅に失われると警告している。部品点数が少ないということは、サプライヤーも少なくなるということだ。エンジン部品メーカーは、EVに特化したビジネスに転換するか、重機からヘアドライヤーまであらゆる部品を製造する他の産業に多角化するか、どちらかを選択しなければならない。あるいは、廃業しなければならない。

内燃エンジン車の販売減少により、すでに雇用が失われている。例えば、世界第4位の自動車メーカーであるステランティスNVは、長らく世界最大のディーゼルエンジン生産地だったフランスのトレメリー工場をEVモーター製造に移行している。トレメリーの従業員数は、2019年の3,000人から2,400人に減少する。多くの人々は、退職するが、代わりはこない。ドイツのサプライヤーであるボッシュは、フランス南部のロデーズの工場を、ディーゼル噴射装置から水素燃料電池などの新製品に転換し、1,250人中750人の雇用を削減する。

自動車産業コンサルタントのBernd Bohr氏は、大規模で資金力のあるサプライヤーが、特定の部品を供給するための「最後の一人」になる可能性が高いと述べた。「多くの企業が、小さくなっていくケーキの一部を奪い合い、問題は、誰が最後のかけらを手に入れるのか、ということだ」と彼は言う。

今年初め、イスラエルのサプライヤーが倒産したとき、エンジン部品の中堅企業、エブテックは事業の一部を引き継いだ。この2年間、パンデミック、供給ショック、インフレに見舞われたサプライヤーは苦境に立たされており、このような光景がもっと増えるはずだ。「もし、あなたが十分に長く持ちこたえることができれば、他のサプライヤーが脱落する可能性がある。そうなれば、ビジネスチャンスも増えるだろう」。残り物には福が来るという話だ。

パワートレインのサプライヤーであるヴィテスコは、内燃エンジンに注力しているが、2030年にはEVが売上の70%を占めると予想している。同社は1月に事業を2つに分割し、1つはEV用部品、もう1つはより価値の高いディーゼル技術に特化し、事業の縮小に伴うキャッシュの確保を図る予定だ。第3の部門には、閉鎖または売却される余剰事業が含まれる。ヴィテスコのアンドレアス・ウルフCEOは、「将来投資のために、必要な資金を確保しなければならない。資金がなければ成長できない」と語った。部品サプライヤーのシェフラーは、将来のEVビジネスは現在の内燃エンジン販売よりも小さくなると予想しており、顧客基盤の多様化に注力している。例えば、シェフラーが自動車メーカーに販売しているボールベアリングは、他の産業にも販売できる。中小のサプライヤーは、すでに原材料やエネルギーコストの高騰に悩まされているが、自動車メーカーの気候目標を達成するために環境に優しい製品に投資する必要がある。

EV部品のための新しい設備に資金を供給することは厳しいかもしれない。

前述のエブテックによると、同社はJLRとの7年契約で約3億3000万ポンド(3億6380万ドル)相当のEV部品の取引が決まっており、さらに他の自動車メーカーからも約2億5000万ポンドの取引がある。しかし、自動車業界のリードタイムが長いため、これらの契約に含まれるモデルの生産開始は2-3年後になる。エブテックは、これらの契約のために、新しい工具や機械に最大7000万ポンドを費やさなければならないが、収入が入るよりずっと前のことである。

コンサルタントのアリックスパートナーズは、自動車メーカーが電動化のために5260億ドルを投じているが、もしサプライヤーの問題に積極的に取り組まなければ、解決にさらに700億ドルを費やすことになると推定している。重要な部品を製造しているサプライヤーは救済される可能性があるが、自動車メーカーはあまり余裕はない、ともいう。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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