建材一体型のソーラー機器市場が急成長 〜掃除可能の設計と高額さが課題
- 2013年7月31日
- 環境ビジネス
建材にソーラー発電機能を組み込んだ建材一体型太陽電池(BIPV)の市場が急速に拡大している。
ブルームバーグ・ニュースによると、2014年にサッカーのワールド・カップを主催するブラジルの競技場では、屋根やロッカールーム、駐車場のひさしにBIPV技術が使われているほか、英国北部にあるコーポラティブ・グループの社屋では、ソーラー・セル(太陽電池の基幹部品)が外壁に組み込まれている。
BIPV技術に投資する豪州私企業投資会社バイアティクス・キャピタルのギャビン・レゾス代表は、「オフィスや工場の建物に太陽光発電機能を組み込むことは、高価な用地や見た目の良くない後付け機器の必要性を排除できる最も明白なエネルギー調達法」と説明する。
コンサルティング大手アクセンチュアによると、BIPV市場は現在の約21億ドルから2015年には75億ドルに拡大し、BIPV技術が応用されたガラスの売上高は42億ドル、壁材は8億3000万ドル、外壁タイルや屋根板は約15億ドルに達すると予想される。
従来のソーラー・パネルが供給過多で2008年以降に価格が90%も落ち込み、経営破綻するメーカーも出るなか、BIPVは付加価値代を乗せた材料費を請求できるため、業界に明るさをもたらしている。米国ではその市場もすでに確立しており、化学大手ダウ・ケミカルは、一見すると従来品と変わらないソーラー機能付き屋根板を12州以上で販売している。
バイアティクスが投資するダイソル(Dyesol、オーストラリア)社は、太陽光をエネルギーに変換する植物の葉を参考に、あらゆる建物に適用可能なソーラー・セルの効率を高める色素太陽電池を開発し、インドのタタ・スチールと協力して同技術を倉庫用の鉄製屋根に組み込もうとしている。
また、米バンテージポイントや英スコティッシュ・エクイティ・パートナーズは、住宅や事務所、高層ビルに使う屋根用タイル板にソーラー発電技術を組み込む英ソーラー・センチュリー・ホールディングスに投資している。
ただ、建材とソーラー発電技術の一体化には課題もある。フォスター+パートナーズは、「掃除や維持管理がしやすい造りであることが重要」と指摘する。汚れると発電効率が大幅に下がって、高額の発電建材の恩恵を十分に受けられなくなる。一体型のソーラー建材は一般に、従来のソーラー・パネルより10%ほど割高だ。
ブルームバーグ・ニュー・エネルギー・ファイナンスのソーラー発電専門家は、「今のところ、屋根が特殊な形でない限り、普通のソーラー・パネルを設置する方がはるかに安上がり」と指摘する。
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