防犯企業がIT企業に勝てる事業 〜ヴィヴィント、電力消費管理に進出

 家庭用防犯システムを提供するヴィヴィント(Vivint)は、エネルギー管理サービスに新事業の触手を伸ばしている。その背景には、昨今激変しつつある事業環境や競争環境がある。

 グリーンテック・メディアによると、ヴィヴィントの競争相手はこれまで、ADTのような防犯システムの会社だったが、現在ではコムキャスト(Comcast)やタイム・ワーナー(Time Warner)といったケーブル・テレビ・サービス会社も競争相手になっている。将来には、ネスト(Nest)やオーパワー(Opower)のように、エネルギー管理事業を主力とする企業が競争に加わると予想される。

 さらに、アップル(Apple)やグーグル(Google)、マイクロソフト(Microsoft)といった消費者向けIT大手も浮上する可能性がある。

 アップルは、電気ソケットをインターネット接続ポートに変える技術で2010年に特許申請している。アップルはその後、家庭用エネルギー管理分野では公の成果をあげていないものの、同社がいずれ同市場に参入することは多くの業界専門家が予想する。

 ただ、最新技術を有することは市場制覇への道とは必ずしも言えない。高性能ダッシュボードを開発することは比較的容易だが、有効な顧客開拓方法を見つけられなければ市場で生き残れない。防犯システムやケーブル・テレビの会社が戦略に自信を持つ背景もそこにある。

 「防犯システム業界は、ほかのサービスの普及を促進する事業モデルを持っている」と、ウォーレン氏は話す。つまり、基幹設備を持つがゆえに、そこに異種サービスを乗せることは比較的容易という利点がある。

 ヴィヴィントは、北米に67万5000件の顧客を持ち、スマートフォンを使って住宅を監視するシステムもすでに提供している。そこに新しいサービスを追加することは、それほど困難ではない。しかし、その逆は非現実的なほど難しい。

 ヴィヴィントはエネルギー管理サービスを2年前に立ち上げ、これまでに既存顧客の54%が同サービスに加入した。

 また、ネストのように自分で機器を設置するタイム・ワーナーの事業モデルも普及が難しいとウォーレン氏は考えている。「DIY(自分でやる)型のモデルは大きく伸びていない」「より多くの顧客を獲得する事業構造が必要だ」と同氏は指摘する。

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