米IT業界の低迷はクラウドの台頭が要因か 〜企業による支出を抑制?

 米経済の回復が加速するなか、米ハイテク業界は予想外に低迷している。

 ロサンゼルス・タイムズによると、米ハイテク業界では2007年にアイフォーン(iPhone)が登場して以来、約6年間にわたる好景気が続いていたが、最近ではマイクロソフトやグーグル、IBM、デルといった大手を含む米IT大手の業績が伸び悩み、シスコ・システムズでは4000人の人員削減を発表したばかり。

 ハイテク業界低迷の影響はほかの業界にも飛び火している。ウォルマートは最近の業績不振に関して、「消費者電子製品やメディア、ゲーム分野の不調による圧力をを受けている」と低迷要因を説明した。

 今のところ、2000年のドット・コム危機ほど深刻ではないが、2008年〜2012年に996億ドルから1822億ドルに増加したIT業界の利益は、2013年第1四半期に4.5%、第2四半期には10.6%減少した。

 また、2013年上半期のベンチャー・キャピタル投資も前年の136億ドルから127億ドルと約7%減少し、ハイテク業界の新規株式公開(IPO)やM&Aも落ち込んでいる。2013年のIT株価の伸びは8月初旬時点で11.1%と、S&P500の19.68%を大きく下回っている。

 ザックス・インベストメント・リサーチのアナリストは、 IT業界の売り上げや利益の米国外市場依存が高まるなか、世界的な経済低迷で企業支出がまだ弱い点を指摘するが、米国のパソコン販売が予想以上に落ち込んでいる点が主な要因として指摘される。

 その背景には、ハード・ドライブやアプリケーションを買わずに、クラウド電算サービスに移行する企業の増加もある、という見方も浮上している。

 一方 、近年多くの新機種を購入してきた一般消費者も、IT機器にやや食傷気味だ。タブレット販売台数がラップトップを抜く勢いで売れていると言っても、一時に比べれば落ち着き始めている。IDCによると、2013年第2四半期の世界タブレット出荷は前期比で約10%減少した。

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