次なる携帯電話市場は米軍 〜新興キャリヤーのDMCがサービスを展開
- 2013年8月21日
- ハイテク情報
米軍の基地は何でもそろっていることで有名だが、携帯電話サービスだけは不十分だ。そこに目をつけたのが、新興企業のディフェンス・モバイル・コープ(DMC)だ。
ビジネスウィークによると、米軍関係者は国内外の異動が激しいため、その多くは通常、携帯電話サービス会社(キャリヤー)が提供する2年しばりの契約に入りづらく、困っている人が多いことから、DMCは、移動仮想通信網オペレーター(MVNO)を立ち上げ、低価格の携帯電話サービスを米軍全体に提供する。
MVNOは、他社の無線通信施設を借用して携帯電話サービスを提供するキャリヤーを指す。DMCもスプリントの通信網を借りて事業を展開していく。
DMCの軍向けサービス対象となるのは、軍関係者およびその家族に加えて、退役軍人、予備兵、各種の軍関連学校に通う訓練生で、その数は5160万人に達する。市場規模としては、ベライゾンおよびAT&Tという米2大キャリヤーの約半分で、3位のスプリントよりも大きい。日本の人口の約4割に相当すると考えれば、取り込む価値が大いにある市場規模と言える。
DMCは米軍と直接やり取りせず、国防省傘下のディフェンス・マンパワー・データ・センター(Defense Manpower Data Center)を通じて顧客情報を照合することで、機密性を保持する。
DMCはサービスの詳細を明らかにしていないが、同社のサイトおよびスプリントの発表を調べると、DMCは、「armymobile.com」や「navymobile.com」といった各軍ごとのドメイン名を取得しており、4軍のドメイン名のいずれもがDMCのウェブサイトに誘導されるようになっていることが分かる。いずれは各軍ごとのウェブサイトに移動するようになるとみられる。
また、DMCのウェブサイトによると、携帯通信サービスは月額20ドルからで、無制限の使用が同40ドル、家族パッケージが同60ドルと、非常に割安の価格設定となっている。
対応機種も低価格サービス向けの下位機種だけでなく、アイフォーン5やギャラクシーS4、HTCワンといった人気の高位スマートフォンもある。
さらに、DMCの携帯通信サービスには、軍専用の医療保険サービス(TriCare)やアメリカン軍人大学といった軍関係者専用の機関にアクセスできるモバイル・アプリケーションも含まれる。
DMCの軍用無線通信サービスから得られる利益の10%は、退役軍人向けのサービスに寄付されることにもなっている。
今後、DMCが世界各国のキャリヤーと同様に提携すれば、世界中にちらばる米国軍関係者にサービスを提供できるようになる。
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