感染症リスク低いiPS 京大、開発に成功

 【共同】移植治療で感染症を引き起こすリスクが低い人工多能性幹細胞(iPS細胞)を簡易に作る培養法の開発に、京都大iPS細胞研究所などのチームが成功し、8日付の英科学誌電子版に発表した。従来法はウシやマウスの成分を用いるため、iPS細胞から作った組織や細胞を移植すると動物に由来する感染症の危険性がある。今回の手法は動物成分が不要で、再生医療への応用を加速させる重要な成果となりそうだ。

 同研究所は、研究や再生医療用にiPS細胞を備蓄する「iPS細胞ストック」構築を進めており、チームの中川誠人京大講師は「新手法を従来法とともに活用していく」と話している。

 従来法では培養皿にiPS細胞を定着させ、栄養を補給するため、マウスの細胞やウシの血清を含んだ培養液を使う。だが感染症リスクや安全性試験に手間がかかる問題があった。

■臨床応用に向けた一歩 新開発のiPS培養法

 培養皿の中でiPS細胞を作製し、増殖させるには、細胞の生存を助けるための栄養や土台が必要で、従来はこれを動物由来の材料に頼っていた。人工的な材料で置き換えることで、動物由来の未知のウイルスがiPS細胞に入るなどの危険を避けることが可能になり、作業効率も上げられる。臨床応用に向けた障害の一つをクリアできたといえる。

 栄養にはこれまで、ウシの血清など動物の成分が入ったものを使い、土台には培養皿の底にマウス由来の細胞を敷くことが多かった。しかし、同じ機能を人工的に合成したタンパク質に担わせれば、動物の成分を使わずに済む。今回の成果のポイントは、人間のiPS細胞を、安定して効率よく培養できるような物質の組み合わせを見つけたことだ。

 患者の体にiPS細胞から作った細胞を移植して治療する計画は、国の援助を受けながら網膜や角膜、脳の神経などの分野で急速に進んでいる。

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