ADM、シンジェンタを提訴〜GMコーン推奨で多大な損害と

 穀物メジャーのアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM、イリノイ州)は、中国政府から米国産遺伝子組み換え(GM)トウモロコシの輸入が許可されなかったとして、GM種子の販売元であるスイスの農業バイオテク大手シンジェンタに損害賠償を求める訴訟を起こした。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、ADMはルイジアナ州地裁に提出した訴状で、シンジェンタが中国政府による認可の確証がないままADMに米農家へのGMトウモロコシ販売を推奨したため、中国向けに輸出された作物が当局から輸入拒否されるまたは差し押さえられる事態となり、「多大な経済的損失と打撃」を被ったと主張している。賠償額は明示していないが、ADMは「1000万ドル単位」と話している

 シンジェンタが2011年に米国とアルゼンチン、ブラジルで販売を開始したGMトウモロコシ「ビプテラ(Viptera)」をめぐっては、ADMの同業カーギルなども9月、シンジェンタを相手に損賠訴訟を起こした。

 ADMによると、シンジェンタは米農務省に対し、今後はGMトウモロコシを他の品種と区別することで、認可に至っていない中国などに輸出する作物と混ざらないようにする方法を開発すると説明したものの、こうした措置は講じられなかったという。

 10州以上の農家も今年、米国産トウモロコシの対中出荷量と価格が落ち込んだとして同社を提訴している。

 シンジェンタによると、ビプテラは北米のトウモロコシ種子売上高の30%を占める。

 トウモロコシの1〜9月の対中輸出量は、前年同期比87%減と落ち込んだほか、先物価格も収穫量の拡大を見越して約14%下落している。

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