IBM、ツイート分析サービスを企業に販売 〜 予想以上の多くの業界から関心

 IBMとツイッター(Twitter)は17日、2014年10月に提携を発表して以来、初の製品となるツイート・データ・サービスを市場投入した。

 ニューヨーク・タイムズによると、同製品はツイッターのデータから洞察内容を発掘する開発者向けツールとクラウド基盤の分析サービスだ。

 サービスの方では、IBMの人工知能技術「ワトソン(Watson)」でサポートされ、「IBMビッグインサイツ(BigInsights)」クラスターにわたる大規模データ(big data)をオープン・ソースのハドゥープ(Hadoop)で処理する。

 かたや、開発者向けツールは、ツイッターのデータを利用するアプリケーションの開発に役立つ。

 IBMとツイッターの提携は、自然かつ有望な動きと受け止められている。IBMは企業顧客向けの大規模データ事業を積極化させており、一方のツイッターは毎秒6000件、1日5億件以上の投稿を集める大規模データの宝庫だ。

 ツイッターでは、利用者らが書き込んだ投稿内容をデータ商品化してその利用ライセンスを企業に売っている。その規模はまだ小さいが、販売は急速に伸びている。

 ツイート・データをビジネス関連プロジェクトに活用するために、IBMは過去数ヵ月間で4000人以上の社員に研修を施した。目標は1万人がツイート・データの処理技能を身に付けることだ。IBMはまた、さまざまの業界の100社以上の顧客と関連プロジェクトを進めてきた。

 「最初に関心を示すのは消費者製品とマーケティング分野だろうと思っていたが、はるかに幅広い分野の企業が関心を寄せていることが分かった」と、IBMのアリステア・レニー分析事業部長は話す。製品開発や製造工程の計画策定にツイート・データを使いたいという企業があったという。

 大規模データの分析例としては、きわめて局地的な気象データとツイート・データを組み合わせて、悪天候によって影響されやすい電話会社やケーブル会社のサービスに対して寄せられる苦情の量を予測するといったプロジェクトがあった。この予測モデルを導入したあと、当該企業の顧客離脱率は5%下がった、とIBMは説明している。

 コンピュータワールドによると、IBMでは、100万件のツイートを分析するサービスに企業は2000ドルを払うだろうと考えている。IBMが設定した利用料金は、最初の500万件のツイートの分析については無料で、それ以上になるとツイート100万件あたり月額2000ドルだ。

 IBMにとって、ツイッターとの提携のような戦略が相当規模の事業に成長することはきわめて重要だ。最高経営責任者(CEO)のバージニア・ロメッティ氏は、2015年を「転換の年」と呼んでおり、データ分析やクラウドといった新規事業が既存のハードウェアやソフトウェア事業の落ち込みを埋め合わせることを期待している。

 ツイッターでは、データ事業が大きな役割を果たすようになっている。同社が「データ・ライセンスおよびその他」と区分する事業分野の売上高は、2014年第4四半期に2倍増以上4700万ドルに達した。

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