スマートフォンを3Dスキャナーに 〜 キャルテック、自走車や医療に応用期待
- 2015年4月8日
- ハイテク情報
カリフォルニア工科大学(Caltech=California Institute of Technology、キャルテック)の研究班は、一辺が1ミリメートル以下という小型のナノフォトニック・コヒーレント・イメージャー(NCI=nanophotonic coherent imager)チップを開発した。
このチップを使えば、高解像度3D画像技術をスマートフォン・カメラに搭載し、撮影した画像データを3Dプリンターに送信して、現物との誤差がマイクロン単位という正確な複製物を作製できる可能性がある。
インフォメーション・ウィーク誌によると、NCIチップには16画素が搭載されており、それぞれが、独立干渉計と呼ばれる機器を利用し、光波の干渉にもとづき標的物を正確に計測する。
同機能は、走査レーザー・ビームを利用して標的物に光を当てるLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)検出と測距技術によって実現された。LIDARは、自動走行車両の安全性確保のためにも使われている。
スマートフォンに内蔵された典型的なカメラでは、各画素は標的物の特定の点から受け取る光の強さを示す。それに対しキャルテック研究班のNCIによって作製される画像の場合、各画素が距離と強度の両方の情報を提供する。
標的物の大きさと形を正確に復元するための仕組みは、1)標的物の大きさと、カメラから標的物の各点までの距離を正確に測定するために、NCIチップにコヒーレンスと呼ばれる光概念を採用し、2)標的物の距離や強度情報を含む電子信号に光を変換する仕組み。
キャルテックのNCIチップは現在、16画素アレーに対応するのみだが、研究班は、より大きな物体の画像化に対応する手法もすでに開発している。
また、16画素アレーは数十万画素アレーへ拡張できる可能性がある。それが実現すればスキャン領域が飛躍的に拡大し、自動走行車両に搭載して道路渋滞状況の変化を分単位で監視したり、医療向けIT分野に応用し、心拍数の微細な変化を正確に追跡したりといった用途が可能になる。
キャルテックの同研究は「ナノフォトニック・コヒーレント・イメージャー(Nanophotonic coherent imager)」と題した論文にまとめられ、オプティクス・エクスプレス(Optics Express)誌2月号に掲載された。
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