ソニー、アイフォーン部品を利益源に 〜 イメージ・センサー事業に追加投資

 スマートフォン市場でアップル(Apple)やサムスン(Samsung)に敗北を喫したソニーは、アイフォーンに代表される他社のヒット製品に部品を供給することを売り上げの基盤として強化している。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ソニーは、デジタル・カメラ向けイメージ・センサーの市場で世界最大のメーカーで、イメージ・センサーの需要拡大に応えるため、2015年に入って9億ドル近い投資を発表し、最近には3億7500万ドルのさらなる投資計画を明らかにした。

 「他社の製品に組み込まれる装置であれ、自社の製品であれ、技術革新をともなうものには興奮を覚える」と、同社のの平井一夫社長兼最高経営責任者(CEO)は話す。

 ソニーといえば、トランジスタ・ラジオやコンパクト・ディスク、ウォークマンを普及させた歴史で知られるが、現在のソニーは、過去の栄光を再現しようとしているわけではない。いまのソニーが重視しているのは、アイフォーン6をはじめとする他社製品の成功に乗じて利益を上げることだ。

 アイフォーン6には、ソニー製のイメージ・センサー二つと関連部品が搭載されている。業界専門家によると、ソニーはそれによって、アイフォーン1台につき最大20ドルを売り上げている。以前のアイフォーンでは、1台につきソニーのセンサーが1個採用されていたが、「自撮り」ブームによって、イメージ・センター市場におけるソニーの立場は強化された。

 ただ、同社のスマートフォン事業は苦戦を強いられており、純利益は過去7年で6度目の赤字になる。そのため、1958年の上場以来初めて無配当となる見通しだ。スタンダード&プアーズ(S&P)は、同社の長期格付けを「BBB」としており、「ジャンク」の一つ上という厳しい評価をつけている。

 ソニーは、2017年度の営業利益を少なくとも5000億円にするという目標値を示している。その半分近くは、イメージ・センサーとビデオゲームで占められる見通しだ。

 ソニーは2月に、成長見込みと投資優先順位という観点から事業部門を3層に分けて再編した。最上層はイメージ・センサー、ビデオゲーム、映画、音楽で、中間層はカメラ、ビデオ、オーディオ機器、そして最下層はスマートフォンとテレビとなっている。

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