業務用ソフトウェア大手の独SAPは1日、6つの主要業界が業務処理過程をデジタル化することで計7.6ギガトンの二酸化炭素排出量を削減できる、と結論付ける報告書を発表した。
SAPが特定した業界は、公益(2.2ギガトン)、輸送および交通(1.5ギガトン)、製造(0.7ギガトン)、小売および消費者製品(0.5ギガトン)、農業および食品生産(1.6ギガトン)、建設(1.1ギガトン)の6つ。
エンバイロメンタル・リーダー誌によると、企業資源計画(enterprise resource planning=ERP)やデータ分析、供給網管理といったソフトウェアを世界規模で活用することで炭素排出量を削減できる、とSAPは説明した。
7.6ギガトンという排出量は、アクセンチュアとグローバル・イーサステイナビリティー・イニシアティブ(GeSI)の調査で特定された2030年までの削減可能量の63%に相当する。
アクセンチュアとGeSIの調査では、情報通信技術を世界規模で活用することで12.1ギガトンの二酸化炭素排出量を抑えられると試算される。
「クラウド電算、大規模データ(big data)、モバイル技術は、現在の業務過程を抜本的に考え直す機会をもたらす」「それにともなう効率化によってコストを削減し、技術革新への投資を拡大して、企業財務を改善できる」、とSAPの持続可能性戦略責任者ウィル・リズラウ氏は話す。
たとえば、製造業では、工場の稼働効率や生産効率を高め、原材料と消費エネルギー、水道の使用量を削減できる。運輸会社は、交通情報をリアルタイムで把握することによって配送経路を最適化して燃料消費量を削減できる。
農業分野では、資産管理システムによって農機や家畜、栽培、収穫を管理できるほか、大規模データ分析の結果を活用することで、植え付けや肥料散布の時期や量を最適化できる。
業務過程のデジタル化は、単純に紙の使用を減らし、それにともなう運搬コストを減らすことにもつながる。ゼロックスは、保険業界の業務過程と人事分野の業務過程をデジタル化し簡素化するための製品を11月に投入している。
「多くの企業が持続可能性を追求してデジタル技術を取り入れている」「その結果、業務の効率化、生産性の向上、経費の節減、オフィス内の無駄の排除が達成されている」と、ゼロックスのワークフロー自動化担当副社長アンディ・ジョーンズ氏は語っている。
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