産業界全体の供給網が排出する温室効果ガスは、企業が直接運営する業務の最大4倍に達するにもかかわらず、大手企業の主要供給業者のうち約半数が、元請け企業から要請された環境データを開示していないことが、最新の調査結果でわかった。
同調査は、CDP(旧組織名:カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト=炭素開示プロジェクト)が実施し、報告書はBSR(ビジネス・フォー・ソーシャル・レスポンシビリティー=社会責任のためのビジネス)との協力で作成された。
エンバイロメンタル・リーダー誌によると、約75社の多国籍企業がCDPと協力して、7879社の主要供給業者に対して環境データの開示を働きかけているが、情報を提出した供給業者の数は現時点で4005社、全体の49%にとどまった。
同報告書では、下記の点も明らかとなった。
▽調査に協力した企業の72%が、気候変動は事業運営や業績構造に重大な影響をおよぼす可能性があると回答した。
▽供給業者の64%が、環境関連規制をリスクと考えていると回答した。特に、燃料、エネルギー、二酸化炭素排出に関する課税が指摘された。
▽排出削減目標を設定している供給業者は45%、温室効果ガス排出量を過去1年に削減した供給業者は34%にとどまった。
今回の調査は、供給業者とその取り引き先を対象に実施された過去最大規模の調査となった。
同報告書ではまた、供給網の環境対策で効果を上げている企業の事例も紹介された。たとえば、化粧品大手のロレアルは、CDPと協力して供給業者向けの環境対応評価表を作成し、調達部門が供給業者の環境対応実績を簡単に把握できるようにしている。
また、コカ・コーラとレゴ・グループは、供給業者向けの奨励策と研修制度を実験的に取り入れている。
コカ・コーラでは、原料供給業者に持続可能の農法の実践や梱包資材の使用量削減を働きかけている。レゴ・グループは、「イノベーション・キャンプ」と呼ばれる大きな研修会を主催し、供給業者との関係を強化しながら排出削減につながる対策の策定と実行を推進している。
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