世論調査の予想大外れ〜意見の無作為抽出が困難に

 世論調査機関が選挙情勢を大きく読み違える例が世界中で起きており、業界は調査方法の見直しを迫られている。
 
 ウォールストリート・ジャーナルによると、今年は英国のEU離脱、コロンビアの和平合意、米国大統領選と、調査機関が民意を読み切れず予想を外す例が続いている。世論の分析が難しくなっている背景には、人々の意思表示の手段が変わり、固定回線電話から携帯電話、インターネットへと移行したのに加え、調査に応じる人の数も減ってさまざまな意見を無作為に抽出するのが難しくなったことがある。
 
 ピュー・リサーチ・センターによると、センターが国内世帯に調査への回答を依頼した場合、20年前は33%以上から協力を得られたが、現在はこの割合が9%に下がっている。また、今は米世帯の約半数が固定回線を持たず携帯電話しか使っていないが、連邦法によって携帯電話に電話する時は10桁の番号をすべて手で入力しなければならず、自動ダイヤル装置が使えない。このため調査対象と話をするのにコストと手間がかかる。
 
 コスト上昇を受けて、多くの調査機関がオンラインを中心とする新しい調査方法を取り入れている。しかしピュー調査によると、オンライン調査は不正確でしかもその理由が説明しにくいという。
 
 選挙の場合、今は予想投票率に基づいて回答をかなり補正しているが、補正はやり過ぎると間違いにつながるため、データにはできるだけ手を加えない方が良いといわれる。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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