植物の授粉の重要な媒介者であるハチが世界的に激減していることを受け、人工授粉の新しい方法として超小型無人飛行機(ドローン)の開発が進められている。
米国内の商業作物の授粉で特に重要な役割を果たしているミツバチの巣は、2016年に44%を失った。ラスティパッチ・バンブルビーやハワイアン・イエローフェイスド・ビーを含む7種は現在、絶滅危惧種に指定されている。
米公共ラジオNPRによると、そういった状況を受けて専門家らは現在、ハチなしで授粉できるようにする方法を模索している。その一人が都英次郎主任研究員だ。日本の産業技術総合研究所(AIST)では同氏の研究班が、昆虫大の授粉ドローンの試作機を開発した。
同氏のドローンは、花から花へと花粉を運べるよう、ハチの体毛の代わりに、粘着性のあるジェル状イオンを塗った馬毛で覆われている。アリやアブといった虫の背に直接塗って環境影響を試したところ、結果は良好だった。
研究班は、ハチと同程度の大きさのクアッドコプター(4つのプロペラを動力源とするドローン)を約100ドルで購入し、花粉の保持力を強化するために馬毛を加え、電流を流して外れにくくなるよう改良を重ねた。その結果、試験管内実験で授粉と花粉の成長に成功した。
ただ、ロボティック・ハチは実地試験の段階までまだほど遠い。遠隔操作の必要もあるため、GPSや高精細カメラ、人工知能の機能を搭載した実地試験版を開発しなければならない。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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