英国の欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)が決まっても、ロンドンは依然として世界で最も魅力的な金融センターとの評価を維持していることが、英シンクタンクZ/Yenグループの最新調査で分かった。2位との差も過去最大となっている。
ロイター通信によると、Z/Yenがインフラや優秀な人材へのアクセスといった要因に基づいて92の金融中心地を順位付けする2017年「グローバル金融センター指数」(GFCI)は、ロンドンが780ポイントで首位となり、2位以下はニューヨーク(756)、香港(744)、シンガポール(742)と続いた。ロンドンとニューヨークの差は24ポイントで、調査が始まった07年以来最大。一部の政治家や経済学者は、ブレグジットによってロンドンは金融中心としての優位性を失うと予想しているが、その兆候はほとんど見られない。
Z/Yen調査では、ニューヨークの評価は前年から24ポイントも低下し、上位グループの中でも最大の落ち込みを記録した。米国の貿易政策に対する懸念が原因と見られる。トランプ大統領は就任以来、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)から離脱するなど、より孤立した経済政策を進めている。
一方、英国で最も強力なロビー団体ザシティUKは、国は現状に満足せず、正式にEUを離脱する19年4月以降に向け、離脱のための手順を早く明確にするよう警告している。マイルス・セリックCEOは「これがないため、多くの企業はすでに緊急対応計画を発動させている。できるだけ早く、どんなに遅くても年内にはそれを固めないと、まちがいなく他の企業も追従するだろう」と述べた。
今回調査が実施された6月以降、ブレグジットに関する英国とEUの協議はとげとげしさを増している。金融業界ではこの2カ月、離脱完了後はEUに新支店を開設するという銀行が増えており、米国、英国、日本の大手のほとんどはフランクフルトかダブリンに開設を予定している。GFCI順位では、フランクフルトは前年の23位から11位に、ダブリンは33位から30位に上昇している。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2023年1月31日 アメリカ発ニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス, 自動車関連
加州、ゼロ排ガス交通インフラ整備に29億ドル
-
デルタ航空、機内ワイファイ・サービスを2月から無料化 ~ 競争力強化に注力、高単価客の獲得に照準
-
2023年1月26日 アメリカ発ニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
小売大手ら、2023年に食品廃棄削減に注力 ~ カギは「逆物流」技術、追跡と分析で廃棄回避を強化
-
2023年1月23日 アメリカ発ニュース, 世界のニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス, 自動車関連
自動車分野の技術革新、実用化には時間が必要
-
2023年1月18日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
機械学習の普及をさらにあと押しする潮流 ~ AWSの人工知能責任者、6大要因および傾向を特定
-
2023年1月16日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 環境ビジネス, 米国ビジネス
仕事や暮らしに革新をもたらすデジタル・ツインの活用法 ~ フォーブス誌、専門家15人の見方を紹介
-
2023年1月12日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
ウォルマート、ロブロックスと提携しメタヴァースに参入 ~ Z世代向けに仮想空間体験を提供へ
-
小売店、オンライン注文処理もこなす実店舗が増加
-
2023年1月5日 アメリカ発ニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス, 自動車関連
電気自動車、大衆市場に食い込めるか
-
米年末商戦の小売売上高、7.6%増を記録 ~ インフレにもかかわらず予想以上に成長