カリフォルニア州の不動産開発業者ファイブポイント(FivePoint)は、ドイツの自動車部品大手ロバート・ボッシュと提携し、サンフランシスコの海軍造船所跡地および屋外競技場跡地に、自動運転車や電気自動車(EV)向けのインフラを完備した住宅・商業地域を開発している。
■コネクテッドなコミュニティ
オートモーティブ・ニュースによると、ファイブポイントとボッシュの「コネクテッド地区」開発は始まったばかりで、1万2000戸分の住居用ビルのうち完成したのはまだ数棟だが、今後20年間で500万平方フィートのオフィス・スペースと100万平方フィートの小売りスペースが加わる計画だ。地区内には人工知能 (AI)を使って不審な行動を判別し、それを人間の管理者に報告する「スマート監視カメラ」が設置され、住民はボッシュが開発したアプリを使って地区内のシャトルバスや公共交通機関を探したり、自分の現在地を連絡先と共有したりできる。
ボッシュは共同事業の一部として、通信網とつながる駐車センサーや家電などの技術を供給するほか、プロジェクトのために商品を開発する業者から関連製品の仕様を収集し、住民のニーズを考慮したインフラが構築されるよう確認する。
■集めた情報は共有
インターネットとつながる住宅地区と商業地区の建設によって、ファイブポイントとボッシュは大量の情報を得ることになる。両社は人々の生活や移動を通して、個人の通勤パターン、好みの輸送手段、新しいテクノロジーとの付き合い方などを学習し、これらを人々のニーズに合わせた商品やサービスの開発に役立てる。両社は、地区の端から内側へ向けて自動運転のシャトルバスを運行する計画で、最終的にはサンフランシスコ・シップヤード(海軍造船所跡地)地区とキャンドルスティック(競技場跡地)地区を結ぶ橋の上にも自動運転車を走らせる予定だ。
ボッシュによると、同プロジェクトで得た情報を共有するのは、他社との提携を通じてコネクテッドカーや自動運転技術のためのデータを増やす戦略の一部。 運転支援および自動運転担当責任者ケイ・ステッパー氏は「重要なのは幾つかの特殊な状況における人や車の流れで、必要なデータを収集するためわれわれには業界を越えた協力が必要」と話す。
人工知能(AI)を活用した運転支援技術を開発するベンチャー企業ナウト(Nauto、カリフォルニア州)のジェニファー・ハルーン企業開発・事業統括責任者も「1つの企業で全ての専門知識を持つことはとても難しく、オープンになって最良の技術や商品を統合できる者が有利」と指摘する。ナウトに入社する前、アルファベットの自動運転車開発部門ウェイモの事業運営を約3年間担当したハルーン氏は「企業は、効率的で信頼性の高い製品を開発するため、地図、サイバーセキュリティ、人の運転行動など特定のデータに関して提携する方法を見つける必要がある」と強調する。
チームプレーを拒む企業は、こうしたプロジェクトから除外される可能性がある。ファイブポイントがボッシュをパートナーに選んだのは、互いが得をする提携に地元のIT企業が乗ってこなかったため。ファイブポイント北カリフォルニア地区社長のコフィ・ボナー氏は「ほかのテクノロジー企業はパートナーほどにはなりたがらず、ただデータを欲しがった」と話した。
【http://www.autonews.com/article/20180305/MOBILITY/180309716/bosch-fivepoint-candlestick-connected-neighborhood?X-IgnoreUserAgent=1】 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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