ニューヨーク市の中心部マンハッタン区では、自動運転の電動タクシーがコストや環境面で大きな恩恵をもたらす可能性が高いとの分析結果を、ローレンス・ バークリー国立研究所とカリフォルニア大学バークリー校(UCB)が発表した。
グリーン・カー・コングレスによると、両研究機関は、独自開発のコンピューターモデルとニューヨーク市における1000万回以上のタクシー利用データを基に、マンハッタンで共有型の自動運転電気自動車(SAEV)をタクシーとして導入した場合のコスト、エネルギー、環境への影響を分析した。この結果、SAEV車両群(フリート)が提供するサービスのコストは1マイル当たり0.29〜0.61ドルで、現在マンハッタンを走るタクシーより安いほか、現在入手可能なハイブリッド車や内燃エンジン車(ICEV)を自動化したフリートと比べても0.05〜0.08ドル安くなることが分かった。
SAEVのコストが最も安くなるのは、バッテリーに1回の充電で50〜90マイル走れる性能があり、1平方マイルに充電器が11キロワット(kW)式で66台または22kW式で44台ある場合だという。これは既存のEVを自動運転にすることで十分可能なだけでなく、現在の水準より下げればさらにコストが削減できることを示している。
分析に関わったUCBのジェフリー・グリーンブラット氏は「EV業界は個人市場を重視し、できるだけ航続距離を伸ばそうとしている。今の標準は200マイルだが、タクシーにはそれほど必要ないのではないかと考えられる。同時に何台も走るタクシーには、充電が必要なら数分間止まっていられる余裕が十分あるため、大量のバッテリーを搭載する必要もなくなり、コストを下げられる。従って充電網がかなり高密度であることが重要になる」と話す。現在マンハッタンには公共の充電器が約500台しかなく、その3倍以上は必要だという 。
SAEVフリートはICEVの自動運転フリートに比べ、温室効果ガス(GHG)排出量を73%、電力消費量を58%削減できると見込まれることも分かった。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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