玄関外側のカメラなど住宅用監視システムが一般的に使われるようになっているが、専門家は住宅所有者らに対し、カメラに疑わしい侵入者などが映っていても警察と相談するまでは映像をインターネットに掲示しないよう呼びかけている。
■無用な混乱を避ける
デトロイト・フリー・プレスによると、手ごろな価格で簡単に戸外をモニターできるドアベル・カメラなどのホーム・セキュリティ・システムへの関心の高まりや、ネクストドア(Nextdoor)、フェイスブック(Facebook)といったソーシャル・メディアの普及で、住宅所有者は不審人物などが映った動画や写真を簡単に他人と共有できるようになった。
しかし、ソーシャル・メディアに投稿されたものは正確ではない可能性があるほか、すでにその人物が逮捕されている時など はいたずらに住民の不安をあおる恐れがある。警察当局は、正当な理由でその場所にいる人を不当に犯罪者扱いしてしまう可能性もあると警告している。
ホーム・セキュリティ・システムは犯罪の捜査に大きく貢献する可能性があるが、警察より先にソーシャル・メディアに投稿したり、警察に通報しなかったりすると状況が複雑になる場合がある。
警察もソーシャル・メディアはモニターしているが、犯罪が発生した時は、地域全体の安全を守る意味でも不審者の情報を すぐに通報してほしいと考えている。
■貴重な証拠にも
ミシガン州ロイヤルオーク市警のキース・スペンサー氏によると、同市内で2月、雪の降る午前4時すぎにネクストドアの警備カメラに映った人物の写真を居住者が投稿した例では、当時警察も捜査していた空き巣狙いの容疑者ではないかといった議論がオンラインで高まった。
居住者が投稿したのは、住宅の監視ビデオから取った白黒の静止画像と、男がいたと思われる通りの名前、その近所で起きた空き巣の詳細といった情報で、「動画の方は市警に提出した」と説明した上で「雪の中で不審な人物や足跡を見つけたら警察に知らせよう」と呼びかけた。
警察は今もこの事件を捜査中で、地域住民もソーシャル・メディアへに画像を投稿し、追加情報があれば警察に通報するよう互いに呼びかけているという。そのこと自体は捜査の障害にはなっていないが、スペンサー氏は「いろんな情報をソーシャルメディアに流すだけで警察には連絡しない人がいると、問題がややこしくなる」と指摘する。
動画には多くの証拠が含まれている可能性があり、警察が容疑者や車、ナンバープレートなどを特定し、服装などの詳細な情報を把握する上で大いに役立つこともある。
2016年には、ミシガン州マコーム郡で起きた殺人事件の裁判で、ある家の監視カメラに映っていた映像が証拠として提出された。被害者の少女(14)は地元の遊歩道で殺された状態で見つかり、映像にはその後と思われる時間にオートバイが走り去る様子が映っていた。
犯人は少女の電話も盗んでおり、その中のフィットネス・アプリには襲われたと思われる時間や場所、激しい動きも記録されていた。裁判ではDNAや指紋の証拠は提出されなかったが、映像からオートバイの所有者が特定され、有罪判決が下っている。 (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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