米国における対中貿易の最大拠点であるロサンゼルス/ロングビーチ港では、2018年8月の輸入貨物取扱量が前年同月比で減少した。2カ月連続のマイナスで、激化する米中貿易摩擦の影響と見られる。
隣接する両港は北米最大の海運拠点を形成している。ウォールストリート・ジャーナルによると、8月のコンテナ取扱量は合計で76万3602TEU(1TEU=20フィートコンテナ1個分)と前年同月から3.1%減少した。
米中貿易摩擦で両国が追加関税および報復関税の発動をほのめかしたことを受け、6月は輸入量を前倒しして増やす企業が増えて8.4%と大幅に増加したが、その後は2カ月続けて減少。通常なら7〜8月は小売業界が秋から年末の商戦に向けた準備を始めるため、輸入量は最高に達する時期となる。
国内のほかの港湾では貨物の流れは続いており、全米小売業協会(NRF)とハケット協会が毎月発表するグローバル・ポート・トラッカーによると、米主要港の総輸入量は8月に過去最高の192万TEUに達し、前年比4.8%増加したと見られて いる。
NRFの供給チェーンおよび関税政策担当、ジョナサン・ゴールド氏は「いつでも関税が強化される可能性があり、小売業者は顧客への影響を抑えるため記録的な量の商品を輸入している」という。在庫を抱える時間が長くなれば、小売店のコストはかさむが、最大25%の追加関税を課されて販売価格や売り上げに影響が出るよりは安上がりとなる。データ調査会社パンジバ(Panjiva)によると、ロサンゼルス/ロングビーチ港は、取扱貨物の半分以上が中国から来ているため、米中貿易摩擦の影響を最も受けやすい。
ジョージア州サバンナやフロリダ州ジャクソンビルといった東海岸の主要港はそれほど影響を受けておらず、サウスカロライナ州港湾局によると、チャールストン港は8月の取扱量が過去最高の20万6541TEU、前年同月比16%の大幅増を記録した。(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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