2019年における職場と業務用技術の3動向 〜 Z世代、単発経済、従業員データ

職場のあり方は年とともに移り変わり、それにともなって業務用技術も変わっていく。一昔前の典型例としては、スマートフォンやタブレットの登場によって、個人所有のモバイル端末を業務利用するという働き方が増えことが挙げられる。インスパイアー ドHR(Inspired HR)のデビー・カローCEOは、2019年における職場と業務用技術の傾向に関する大まかな5大要因をCNBCに寄稿した。本稿では、そのなかから職場向け技術と 関連性のある三つを紹介する。

▽Z世代が労働市場に

Z世代(Gen Z)は2020年までに世界労働者の最大36%を占めると予想され、企業はZ世代人材を確保し維持するための人材資源(HR)戦略の実行を進めつつある。

1990年代中盤から2000年代前半のあいだに生まれたZ世代は、ソフトウェアと技術の戦略的活用を当然と考える「デジタル・ネイティブ」であり、インターネット中心型社会で育った最初の世代でもある。生まれたときにはウェブサイトがあり、学童期にはスマートフォンが普及し、数々のモバイル・アプリケーションを自在にダウンロードして種々の利便化や効率化に慣れきっているのがZ世代だ。

その一方で、Z世代は、高い技術的能力とは対照的にビジネス文書力といった能力面に弱点があり、また、皮肉にも電子的通信よりも対面での会合を好む傾向も指摘される。

Z世代が人材の多くを占めるようになるこれからは、Z世代に適した職場環境と技術環境の整備や、Z世代が職場に馴染めるような工夫がさらに求められる。そのため、管理職らはZ世代の特性を認識して、既存社員とZ世代の融合を促進する環境づくりの必要性を重視しなければならない。

▽単発経済のさらなる隆盛

「単発経済(gig economy)」とは、単発の仕事の受発注によって成り立つ経済活動の形態だ。多くの企業で離職率が高まるなか、ギグ・エコノミーは増大傾向にある。従業員と会社の関係性は世界的に薄まっている。若い従業員ほど5年以内の離職率が高いことはその影響だ。

企業はそのため、従業員を長く引き留める努力をするよりも、離職関連コストを下げると同時に、ギグ・エコノミーの受け入れを強めている。その傾向は、必要な労働者の数がプロジェクトごとに大きく違う業界で特に顕著だ。

ギグ・エコノミーの活用を増やせば、デジタル技術の可用性を拡充する必要が出てくる。プロジェクトごとに雇われる労働力による班が編成されるギグ・エコノミー体制では、オンライン協業をはじめとする各種のクラウド電算サービスの活用や、遠隔勤務または外出時就労への対応、共用データへのアクセス、モバイル・アプリケーションの活用と管理、といった労働環境を整備しなければならない。

▽個々の従業員データの収集

多くの企業は近年、従業員データを集め始めており、その傾向は2019年にさらに強まることが確実だ。

従業員データは従来、退職や業績評価、人材訓練のために利用されてきた。しかし、職場での技術とソーシャル・メディアの普及を背景に、企業は膨大な従業員データを集めて、それらをもとに従業員の行動を評価するようになった。

一部の企業では、社内メッセージング・システムでの対話パターンの分析や、従業員の居場所追跡、健康データを集める「ヘルス・トラッカー」の従業員への支給といった試みがすでに実施されている。

なかでも健康管理追跡に対する需要は急成長が予想される。医療保険(健康保険)コ ストの上昇を抑えることがその狙いだ。アップル・ウォッチ(Apple Watch)に代表されるスマート腕時計を福利厚生策の一つとして従業員に支給する会社も増えている。2021年までには米国企業の従業員向け「ウェルネス・プラン」の9割にヘルス・トラッカーが導入されるという予想もある。

そういった傾向は当然ながらプライバシー懸念を誘発する。そのため、企業側は、どのような目的でデータを使うのかを完全可視化し、従業員の信頼を裏切らないようにすることが必要不可欠だ。

【https://www.cnbc.com/2018/12/13/5-top-workplace-trends-to-watch-in-2019.html】(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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