電気自動車(EV)用の電池市場ではアジア企業が優勢を保っており、世界の自動車メーカーから条件の良い契約を取り付けるため、欧州、中国、米国で生産力を拡大している。
その一方、自動車メーカーの中には今後発売を計画するEVに必要なバッテリーを十分確保できるのか懸念する向きがあり、韓国のSKイノベーションとLG化学との特許を巡る激しい確執も供給不足を悪化させる恐れがある。
以下は、ロイター通信がまとめた世界の主要EVバッテリー大手の現状および拡張計画。
■CATL
世界最大の中国系電池メーカーで、顧客にはBMW、フォルクスワーゲン(VW)、メルセデスベンツを傘下に持つダイムラー、ボルボ、トヨタ、ホンダなどがある。中国製の電池搭載車だけを助成の対象にする中国政府の政策などを背景に大きな力を付けたが、中国は2020年からEV補助金を段階的に廃止する。工場は中国にあるほか、海外では初めてドイツに建設中で、米国でも建設を検討している。
■パナソニック
米国の先駆的EVメーカーであるテスラのサプライヤー。10月末現在、ネバダ州にあるテスラとの合弁工場の生産能力を現在の約30ギガワット時(GWh)から35GWhに増やすための設備を整えたと表明した。同社はこの工場に約16億ドルを投資している。日本や中国でもEV用電池を生産しており、一部の工場はトヨタとの新しい合弁会社に移行させる予定。顧客にはホンダやフォードも含まれる。
■BYD
投資家ウォレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが資本参加する比亜迪(BYD)は、主に自社製の乗用車やバス向けの電池を生産している。18年には欧州でのセル生産を検討していることを明らかにした。
■LG化学
早くから業界大手となった韓国LG化学は、08年にGMとプラグイン・ハイブリッド車(PHV)「ボルト(Volt)」を共同開発し、電池を供給しているほか、フォード、ルノー、現代自動車、テスラ、VW、ボルボにも供給している。
上海のテスラ工場近くに施設を建設し、生産を拡張するため28億ドルを投資している。中国ではボルボ車を造っているジーリー(吉利汽車)と合弁事業を展開し、他の自動車メーカーとも主要市場での合弁事業を協議中。米国ではミシガン州に続く2つ目の工場建設を検討しており、ボーランド工場も拡張している。
■サムスン(SDI)
韓国、中国、ハンガリーにEVバッテリー工場を持ち、BMW、ボルボ、VWなどに供給している。ハンガリー工場では、拡張に約12億ユーロを投じているが、政府の財政支援が地域の国家援助規制に準拠しているか欧州連合(EU)当局が調査中。同工場は18年に生産を開始し、年間5万個のEV用電池生産を見込んでいる。
■SKイノベーション
LG化学の競争相手で、VW、ダイムラー、起亜、ジャガー・ランドローバー、フェラーリに電池を供給している。
reuters.com/article/us-autos-batteries-factbox/factbox-the-worlds-biggest-electric-vehicle-battery-makers-idUSKBN1Y02JG (U.S. Frontline News, Inc.社提供)
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
イーロン・マスク氏、トランプ氏再戦で大きな賭けに勝つ 〜 未曽有の利益相反の懸念も浮上
-
2024年11月7日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
HV人気でプラチナ需要が回復~排ガス浄化装置の触媒向け
-
コロンバス市、市民50万人の個人情報を盗まれる 〜 ランサムウェア集団のリシダ、30ビットコインの身代金を要求
-
米公益事業へのサイバー攻撃急増、前年比70%
-
ドキットAI、世界初の人工知能簿記サースを発表 〜 約2週間の作業を45分に短縮
-
サービスナウ、データ活用で生成人工知能ツールに付加価値 〜 業務効率化の実践的な体験に重点
-
2024年10月21日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
ヒューマノイド世界市場、2028年には138億ドルに 〜 年平均成長率50%以上で成長、と調査会社が報告
-
カシオ、ランサムウェア攻撃でのデータ盗難被害を認める 〜 身代金要求の有無については沈黙
-
2024年10月17日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
電子財布のデジタル鍵がホテルのカード鍵に取って代わる動き 〜 非接触式への移行に加えサイバー対策強化の流れ
-
2024年10月14日 アメリカ発ニュース, ハイテク情報, 米国ビジネス
アップル・ウォッチ、医師たちのお気に入りの医療機器に 〜 患者の心臓機能追跡に活用、健康管理を合理化