ベンチャービート誌によると、セールスフォースは1日、客先を訪問する現場サービス担当者向けの製品「セールスフォース・フィールド・サービス(Salesforce Field Service)」の新機能を発表し、新型コロナウイルス・パンデミックが業務遂行にもたらす障害を克服しやすいようにする人工知能ツール群を追加することを明らかにした。
▽パンデミックでも延期できない仕事の予定を最適化
新機能には、アポイントメントの設定と最適化や人工知能によるガイダンス、自動化された顧客コミュニケーションが盛り込まれている。
パンデミックによって、客先を訪問する現場サービス担当者らはかなりの制約を課されるようになったが、たとえば医療機器や空調設備、製造機械といった機器類の修理を
延期することはできないため、依頼する方も受ける方も対応を迫られている。
セールスフォースによると、現場サービスの利用量は、3月にいったん下がったものの、4月から7月にかけて50%以上増加した。いまではパンデミック以前より20%多いという。
▽予想保守のスマート化と推奨モデルの構築
同社が発表した現場サービスの新機能「ダイナミック・プライオリティ(Dynamic Priority)」は、サービス水準契約やサービスの重要性にもとづいて優先順位をつけるインテリジェント・スケジューリング機能だ。たとえば、保守(整備、管理)の時期が近づいていたり保証期間が失効間近になっていたりする場合に、その作業を優先することができる。
ダイナミック・プライオリティは、同社の人工知能ツール「アインシュタイン・リコメンデーション・ビルダー(Einstein Recommendation Builder)」と連携して、モデルを構築できる。リコメンデーション・ビルダーは、たとえば、過去の注文を考察して類似した案件を見つけ、現在の案件で必要になると思われる部品を特定するといった機能によって業務の簡便化と効率化を促進する。
▽設備稼働の最大化と訪問時間の予告機能
かたやアセット360(Asset 360)は、一連の事業資産管理機能をもたらす。同機能は、サービスマックス(ServiceMax)がセールスフォースと協力して開発したものだ。契約状況と事業資産のパフォーマンスを吟味して、設備機器の稼働可能時間を最大化し、コストを引き下げるのに役立つ。
そのほか、アポイントメント・アシスタント(Appointment Assistant)は、作業の進捗状況を把握して、GPSからの位置情報も考慮したうえで、現場サービス担当者の到着時刻を顧客に知らせることができる。到着時間がわかっていれば、顧客側も作業現場を空けておくといった準備ができるようになる。そのため、ウイルス感染リスクを抑えられる可能性がある、とセールスフォースは説明している。
▽今秋に相次いで市場投入
ダイナミック・プライオリティは10月に、アインシュタイン・リコメンデーション・ビルダーはベータ版が10月に導入される。アセット360の提供開始は11月の予定だ。アポイントメント・アシスタントは、米国で10月から既存顧客限定で試験運用が始まる見通しだ。
セールスフォースの現場サービス管理担当副社長マーク・キャッティーニ氏は、「現場サービス担当技術者らにとって的確な情報とツールを持つことが、顧客らの機器類の稼働を最大化かつ最適化するのにかつてないほど重要になっている、とわれわれの顧客たちが口をそろえて話している」とブログ・ポストで説明した。
パンデミックによってさまざまの課題が浮上して業務遂行が困難になったため、現場サービス業務とその管理を人工知能によって次段階に引き上げることが非常に求められている、と同氏は話した。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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