クイビーの大物共同創設者、事業失敗の要因を語る ~ 大型新興企業、立ち上げから半年で廃業へ

動画配信新興企業クイビー(Quibi)の共同創設者であるジェフリー・キャッツェンバーグ氏とメグ・ウィットマン氏は10月22日、複数の要因が重なったことが事業失敗の原因だと説明した。

クイビーは、モバイル端末利用者向けの短編動画配信サービスを月額4.99ドルで4月に開始したが、先日、事業閉鎖を決めた。比較的若い世代を標的市場に、ニュースやドキュメンタリー、ドラマ、独自作品を中心に5~10分の動画を移動中のスマートフォン利用者向けに配信するというのがクイビーの特徴だった。

キャッツェンバーグ氏は、ウォルト・ディズニーの元幹部でドリームワークス・アニメーションSKGの共同創設者というハリウッド界の重鎮という人物。一方、ウィットマン氏は、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)の前CEOで、2018年1月の退任後にはデジタル・メディア新興企業ニューTVのCEOに就任した。ウィットマン氏は米技術業界で女性富豪番付け首位の人物だ。

クイビーは、娯楽映像業界の重鎮と技術業界の大物がそろって立ち上げた動画プラットフォームとして関心を集めたが、利用者を増やせず低迷を続けた。同市場では、ユーチューブやネットフリックス、フールーといった先行組に加えて、最近ではティックトックやアップルTV+、アマゾン・プライム・ビデオ、ディズニー+らが台頭または参入したことで、消費者にとって選択肢が非常に増えている。

CNBCによると、「われわれは、クイビーのサービスが何かを消費者に真に理解してもらう前に利用料金を求めた」「普及させるための別の良策があったと思う」「また、コーヴィッド19(Covid-19)パンデミックによって、人々の移動が劇的に減少したため、クイビーの存在意義が弱まった」とキャッツェンバーグ氏は取材に答えた。同社は、最初の年に700万人の加入者を想定したが、9月末時点でその数はわずかに 50万人だった。

同社は、サービス開始前の時点で総額17.5億ドルという巨額の投資を集めていた。投資した会社には、ディズニーやNBCユニヴァーサル、AT&T傘下のワーナーメディアといった米メディア業界大手らが含まれる。

ウィットマン氏による、クイビーは現在、少なくとも3億5000万ドルの残金を保有する。同社は、それを投資会社や加入者らへの返金にあてる方針だ。両共同創設者らは、向こう3~4ヵ月をかけて事業閉鎖と資産売却、返金に専念する。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

この記事が気に入りましたか?

US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします

最近のニュース速報

アメリカの移民法・ビザ
アメリカから日本への帰国
アメリカのビジネス
アメリカの人材採用

注目の記事

  1. アメリカ在住者で子どもがいる方なら「イマージョンプログラム」という言葉を聞いたことがあるか...
  2. 2024年2月9日

    劣化する命、育つ命
    フローレンス 誰もが年を取る。アンチエイジングに積極的に取り組まれている方はそれなりの成果が...
  3. 長さ8キロ、幅1キロの面積を持つミグアシャ国立公園は、脊椎動物の化石が埋まった岩層を保護するために...
  4. 本稿は、特に日系企業で1年を通して米国に滞在する駐在員が連邦税務申告書「Form 1040...
  5. 私たちは習慣や文化の違いから思わぬトラブルに巻き込まれることがあり、当事務所も多種多様なお...
  6. カナダの大西洋側、ニューファンドランド島の北端に位置するランス·オー·メドー国定史跡は、ヴァイキン...
  7. 2023年12月8日

    アドベンチャー
    山の中の野花 今、私たちは歴史上経験したことのないチャレンジに遭遇している。一つは地球温暖化...
  8. 2023年12月6日

    再度、留学のススメ
    名古屋駅でホストファミリーと涙の別れ(写真提供:名古屋市) 以前に、たとえ短期であっても海外...
ページ上部へ戻る