新型コロナウイルス・パンデミックの何年も前からハイブリッド勤務を導入してそれを成功させた新興企業がある。フォーブス誌によると、その新興企業トゥレロの共同創設者は、ハイブリッド勤務を成功させるためには4つの手法が不可欠だと話す。本稿ではその4つを前編と後編に分けて解説する。
▽2013年に開始
デジタル生産性&プロジェクト管理ツールを提供するニューヨーク市拠点の新興企業トゥレロ(Trello)は、ハイブリッド勤務(遠隔労働と出勤の混合)を2013年に始めた。
同社にとって重要でみんなから好かれた一人の従業員がハワイに移住したことがそのきっかけだった。その従業員のために取り入れたハイブリッド勤務がうまくいったため、同社はハイブリッド勤務をほかの従業員にも適用した。その4年後には、全従業員の80%がニューヨーク市以外に住むようになった。
▽従業員6000人の親会社も実施
トゥレロの親会社であるアトラシアン(Atlassian)は、トゥレロのハイブリッド勤務体制を参考にし、6000人の従業員を一晩で遠隔労働に移行させた。アトラシアンは、オンライン協業ツール群やソリューション群、生産性ソフトウェアで知られる。
トゥレロとアトラシアンは、パンデミック以降、ほとんど何も変えることなく通常業務を継続している。
トゥレロの共同創設者でありアトラシアンのトゥレロ責任者も務めるマイケル・プライヤー氏は、「働き方について意識的になること」がハイブリッド勤務戦略を成功させるための基礎だと話している。
▽カギはミューラル
また、ミューラル(MURAL)がそのカギであることを同氏は強調する。
ミューラルとは、各部署や各班が職務上の課題をより迅速に解決するために使う視覚的かつ直感的なデジタル共用キャンバスのような仮想協業環境であると同時に、その仮想協業ソリューションを提供するシリコン・バレー新興企業だ。
トゥレロとアトラシアン、そしてミューラルによると、ハイブリッド勤務を成功させるためにはずしてはならない4つの手法として下記4つがある。
1.すべてを視覚化
デジタル協業を視覚化することは遠隔労働を成功させるうえで基本中の基本だ。プライヤー氏の班では、組織構成からアプリケーション開発の流れまですべてを図にしてミューラルにアップロードする。協業過程を図によって共有することで仕事の進み具合が速まることは自身の体験から何度も実証されてきた、と同氏は話す。
同氏によると、対面会議で定番となっている白板を使った意見交換でも、さまざまの事柄を白板に書いて示すことで会議参加者たちの理解が深まるし速まる。ミューラルはそれをデジタル化するだけでなく、全員がリアルタイムで参加できるようにする。動画会議参加者らのカーソルが画面上で動き、自由に書き込んで意見や案を出し合って共有することで一体感も醸成される。(後編に続く)
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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