ベインとバーバー、冷蔵倉庫市場に5億ドル投資
プライベートエクイティー投資ファンドのベイン・キャピタル(BainCapital、マサチューセッツ州)は、不動産開発業者バーバー・パートナーズ(Barber Partners、テキサス州)と提携して、冷凍冷蔵倉庫市場に参入する。
■永続的なトレンド
ウォールストリート・ジャーナルによると、両社はこのほど不動産開発の合弁会社チル・ストレージ(Chill Storage)を設立した。今後3~5年に5億ドルを投じて国内に10~15の冷凍冷蔵倉庫の建設を目指す。最初のプロジェクトとして、テキサス州デントンに30万2400平方フィートの倉庫を建設する。広報担当者によると、ベインは合弁の資金調達を支援し、施設の設計やプロジェクトの他の側面でもバーバーと協力する。
電子商取引の急増を受け、小売業者や物流業者は店舗や個人宅に商品を迅速に配達するため人口が集中する地域の近くに倉庫スペースを求めるようになっており、産業用不動産市場は急成長している。ベインのディレクターであるデイビッド・デプレ氏によると、特に冷蔵倉庫分野は施設の多くが老朽化しており、従来は都市部より生産拠点の近くに建てられていたため、大きな商機が見込めるという。「eコマースの観点からすると、食料雑貨はまだほかの小売商品ほど浸透していないと思う。地元の新鮮な食品に対する需要は非常に息の長いトレンドで、成長する都市部から車で4時間以内の場所に施設があることが重要になる」
■運営せずテナントに貸し出し
新型コロナウイルスの大流行期に急増した食料品のオンライン購入や宅配は、食品の保管に対する強い需要を生み出した。冷蔵市場大手のリネージュ・ロジスティクス(Lineage Logistics、ミシガン州)やアメリコールド・リアルティ・トラスト(Americold Realty Trust、ジョージア州)は、この1年で数百万平方フィートに上る肉や野菜、その他の生鮮品を扱うスペースを建設または着工した。リネージュは保管容量を21年3月の約21億立方フィートから現在は25億立方フィートに増やしている。
他の専門技術企業も都市部の小さなスペースに高度に自動化されたマイクロ発送センターを建設している。ニューヨーク市拠点の小売関連技術開発ファブリック(Fabric)は4月、同社のロボット技術を導入した3万9000平方フィートの施設をテキサス州ダラスに開設した。
冷凍冷蔵倉庫に対する投資家の関心も加熱しており、不動産サービス大手CBREグループが従来とは違う投資分野を求める投資家を対象に行った調査では、冷凍冷蔵倉庫に興味があるという回答は2019年の7%から22年には39%に増えている。
22年はオンライン販売が鈍化しているが、ベインとバーバーはアメリコールドやリネージュのように自ら倉庫を運営するのではなく、既存のスーパーマーケット大手や物流業者などのテナントに貸し出す予定。デントンの施設についてはすでにテナント候補と交渉中で、1カ所当たり1~3社のテナントを誘致するためCBREと連携している。
バーバーのパトリック・バーバー会長は「これらのリースは非常に定着性が高い。入居するテナントは、すべてのインフラの必要性やさまざまな理由から出て行かない傾向がある」と話す。同氏は、小売業者や3PL(受託物流サービス)企業にもっと近代的で高度な技術を備えた施設を提供し、彼らの業務を効率化することを目指しており、開発は南東部から始め、北東部、西海岸の主要な物流拠点の近くへと進めていく計画だという。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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