連邦議会でこのほど半導体業界支援法案が可決されたことを受け、ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事(民主)は2日、同州を自動車用半導体の製造ハブにしたいという強い考えをオートモーティブ・ニュースに語った。
■工場立地に最適
同誌によると、エンジニアの人口密度が高く自動車のサプライチェーン(供給網)もあるミシガン州は、半導体メーカーが米国工場の建設地を決める際に魅力的な選択肢になると知事は見ており「これは私たちが先導できることを世界に示す重要な機会」と述べた。
7月下旬に上下両院で可決された「国内半導体業界支援および科学法案(CHIPSand Science Act)」には、半導体メーカーの生産や研究開発などに対する約520億ドルの支援と、半導体の国内生産促進のための税優遇が含まれ、バイデン大統領の署名を経て成立する見通し。このうち20億ドルは自動車産業で使われる古い「マチュアノード」半導体の生産に充てられる。
世界の自動車業界は半導体部品の不足で大混乱し、オートフォーキャスト・ソリューションズの試算によると、自動車メーカーは21年以降1300万台以上の生産にチップ不足の影響を受けている。
ミシガン州は、インフラや教育への投資を含め半導体メーカー誘致のため政府が総合的に取り組んでいるといい、ウィットマー氏は「州内を走っていて半導体の到着を待つピカピカの新車が駐車場に並んでいる地域を通りかかると、この高度な製造業を米国に取り戻さなければならないと強く思い知らされる。ミシガンが工場を造って半導体生産を始めるための素晴らしい場所であることを、車載チップメーカーに知ってもらいたい」と話した。
■税控除条項は調整を
知事はまた、議会民主党が電気自動車(EV)購入者に対する連邦税控除の延長に関する条項を調整することが極めて重要だと指摘した。民主党重鎮のチャック・シューマー、ジョー・マンチン両議員が作成した上院案では、EV購入に対する7500ドルの税控除を延長する一方、メーカーに対しては重要な鉱物と電池の調達に関する厳しい要件などが追加されている。
ウィットマー氏によると、州選出のデビー・ディンゲル下院議員(民主)は国内の自動車メーカーが法案の内容の一部に懸念を抱いていることを認識しており、マンチン氏らとともに調整しているところだという。知事は「この法案の精神は重要でわれわれは支持するが、業界の移行と米国の雇用を支えるためには正しい形で導入されなければならない」と述べた。
自動車メーカーや業界団体は先週、法案の内容を精査していると話し、GMは声明で「全てのメーカーに公平で、消費者による将来の電動化オプションの導入を奨励し、米国がEVの革新と導入のリーダーであり続けることを保証する条項を、議会と一緒に検討していきたい」と発表した。
一方、北米マツダのダニエル・ライアン副社長(政府・顧客渉外担当)は「電池や重要鉱物に関する規定によって、メーカーが連邦政府の定めるEV販売目標を達成することが非常に困難になるのではないかと懸念している」と述べている。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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