妊娠中絶薬の不法販売ウェブサイト急増

連邦最高裁が7月、人工妊娠中絶を合憲とする従来の解釈を覆す判断を下したことを受けて、妊娠中絶薬を処方せんなしでオンライン販売するウェブサイトが国内外で増えている。これは連邦食品医薬品局(FDA)の規則に違反しており、不法販売になる。

■購入者が罪に問われる恐れも

ウォールストリート・ジャーナルによると、こうしたサイトの大部分は、サイト運営者や薬の出どころを明確に説明しておらず、一部は国外を拠点にしている。1箱500ドルという法外な価格で販売しているサイトもある。

これらの違法サイトは、医療機関に行けない妊婦や、中絶のための遠隔医療相談が認められていない州に住む妊婦を標的にしている。不法販売は、時期が遅すぎて服用しても効かないのに薬を販売するといった危険をはらむほか、法律専門家によると、中絶薬を処方せんなしでオンライン購入した場合、規制の厳しい州では購入者が刑事責任を問われる可能性もある。

さらに一部の保健専門家によると、偽薬を販売するサイトもあり、適切な情報や医療支援を提供しないサイトも多いため、深刻な被害を受ける妊婦が増える可能性もある。

■大半がFDA未承認薬

全米薬事委員会連合(NABP)のアル・カーター代表によると、一般的に中絶薬にはミフェプリストンとミソプロストールという2種類の成分が含まれ、それらは妊娠10週間までを条件に薬剤による中絶療法としてFDAが承認している。

いくつかの中絶薬販売サイトや購入者からの情報によると、処方せんなしで中絶薬を販売するウェブサイトは、主にFDA審査を受けていない薬を販売している。FDAはすでに、中絶薬の販売サイトに関与する一部の会社に対して販売停止を求めている。

カザフスタン拠点のメッドサイド24ドット・コム(Medside24.com)によると、「ロー対ウェイド判決(女性の堕胎権は合衆国憲法が保障する権利と認めた1973年の最高裁判決)」が覆された7月以来、米国での中絶薬オンライン販売は倍増した。同サイトは中国やロシア、ベトナムのメーカーが製造した中絶薬を扱っている。

そのほか、インドで製造された中絶薬も需要が増えている。おもなメーカーには、ザイダス・ライフサイエンシズ(Zydus Lifesciences)やシプラ(Cipla)、ナマーン・ファーマ・ドラッグス(Naman Pharma Drugs)がある。

■決済はペイパルで

また、オンラインアボーションピルズRX(onlineabortionpillsrx.com)といった中絶薬販売サイトは、支払いはオンライン決済ペイパルで行うよう求めている。こうしたサイトは、購入者がペイパルを利用する際、薬を買うことに触れないよう指示している。違法な薬品の売買にペイパルが使われていることが分かれば、ペイパルがオンライン決済を無効にする可能性があるためだ。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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