米国自動車協会(AAA)は、先進運転支援システム(ADAS)に関する最新調査結果を発表した。ADASは一部の運転操作を支援するが、ドライバーはADASに関する適切な知識(メンタルモデルと呼ばれる)を持たない可能性があり、特にエッジケース(極端な状況)など車載システムの能力を超える状況でこの技術の使い方を誤ったり、不信感を抱いたりする可能性があるという。
AAAのプレスリリースによると、過去の研究では、メンタルモデルはADASが関係する運転状況を経験することで改善される可能性が示されており、今回の調査では、さまざまな数および種類のエッジケースが、車間距離制御(ACC)システムに対するドライバーの理解、信頼、作業負荷に与える影響、およびACC使用を経験した後のシステム使用状況を調べた。
対象のドライバーは、定型的な事象だけを経験する「通常グループ」と、定型的な事象に加えてまれなACC関連のエッジケースも経験する「強化グループ」に分けられ、それぞれ4回実験に参加した。この結果、ドライバーのACCに対する理解は、経験を積み、システムに触れる機会が増えるにつれて向上し、どちらのグループのドライバーもメンタルモデルのスコアは、1回目から4回目の実験まで上がり続けた。このことから、ADASを使って安全に運転するためには経験と慣れが重要であることが分かる。
注目すべきは、「強化グループ」の方が「通常グループ」よりも高い理解度を示したという点で、まれなエッジケース事象がシステムの限界に関する豊富な情報をドライバーに提供し、それが知識の向上につながった可能性がある。
グループ間の差は、最初の実験の終了時から確認できた。このことは、まれな事象と日常的な事象に触れることで、システムを経験したばかりのドライバーのメンタルモデルの発達が早まる可能性があることを示している。「通常グループ」は、「強化グループ」が1回目の実験終了後に示したシステム理解度と同じ水準に達するのに4回目の実験までかかったという。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
この記事が気に入りましたか?
US FrontLineは毎日アメリカの最新情報を日本語でお届けします
最近のニュース速報
-
2025年2月6日 アメリカ発ニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス, 自動車関連
加州、無公害トラック義務化を断念~排ガス規制が大きく後退
-
2025年2月4日 アメリカ発ニュース, 環境ビジネス, 米国ビジネス
ロサンジェルス郡の山火事で緊急対応アプリケーション群の使用が激増 〜 発生場所や大気汚染、避難命令、強風警報、さまざまの状況を逐次追跡
-
ユナイテッド航空、機内インターネット接続の試験を前倒し 〜 スターリンク端末を順次搭載へ、今春にも運用開始
-
2025年1月27日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
自動車メーカー、5G切り替えで難しい判断
-
FBI、アイフォーン同士以外ではアイメッセージを使わないよう注意喚起 〜 中国の国策ハッカーら、米スマートフォン利用者らの情報を窃盗
-
トランプ氏の返り咲きに戦々恐々とする米技術大手ら 〜 対立関係の改善をねらってあいついで寄付
-
2025年1月20日 アメリカ発ニュース, 米国ビジネス, 自動車関連
半自動運転システムでドライバーの注意力低下
-
高級ブランドら、ビットコイン高騰を受けて暗号通貨での決済を受け付け 〜 暗号資産家市場の掘り起こしに舵を切る
-
2025年に予想される人材資源管理の5大変化 〜 補助業務から戦略業務へと進化
-
2025年に注目される7大技術動向 〜 画像加工技術会社のパーフェクトが予想