俳優やモデル、スポーツ選手といった有名人らのデジタル分身(アヴァター)を人工知能技術で作成したものが広告や販促の世界で市場を形成するまでに成長している。
ブレイキング・レイテスト・ニュースによると、サッカー選手のネイマール(ブラジル代表選手の一人で、パリのサンジェルマンに所属)は2022年に、プーマ(Puma)と契約し、自身のアヴァターを使って同社製品についての推薦コメントを語ることに合意した。ネイマールのアヴァターはメタヒューマン(MetaHuman)のアプリケーションで作成された。
また、ゴルフ界の伝説的存在であるジャック・ニクラウス氏(83歳)は、キャリアがピークに達した38歳時点のデジタル・クローンを作成し、デジタル世界でファンとやり取りできるようにすることでソウル・マシーンズ(Soul Machines)と契約した。
ソウル・マシーンズは、人工知能を使ってデジタル・クローンを制作し、ファンや顧客とリアルタイムにやり取りできるようにするサービスを提供している。同社はこれまでに多数の有名人やインフルエンサーたちと契約を結んできた。同社のグレッグ・クロスCEOは、それが「販促の未来」だと考えている。
最新の人工知能技術が可能にしたこの種の契約は、ブランドらにとって新たな販促コンテントの機会をもたらすだけでなく、有名人らにとってもいままでにない露出機会をもたらす。
しかし、その一方で、法律の問題をはじめリスクを高めるのも事実だ。本人の同意なく作成されたコンテントがネット上に出回り、どれが本物でどれが偽物か、どれが合法でどれが違法かを見分けることが難しくなっている。有名人のディープフェイク(deepfake)が関係者の同意なく広告に使われたこともすでに問題になっている。
「ディープフェイク」という言葉は、元来なら人工知能技術を使って精巧に合成した画像や動画を意味したが、最近では人を欺くために捏造された画像や動画を指すようになっている。
人工知能を使ったコンテント制作新興企業メタフィジック(Metaphysic)のトム・グラハムCEOは数ヵ月前に、人工知能で制作した自身のアヴァターに関する著作権を米国で申請した初めての人物となった。
画像や映像を生成する人工知能ツールが簡単に使えるようになったことで、個人のアヴァターやディープフェイクが無差別に氾濫するという危険はきわめて現実的になっている。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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