アルファベットの自動運転車(AV)開発部門ウェイモは、カリフォルニア州で無人の自動運転タクシー(ロボタクシー)事業を大幅に拡大する計画を打ち出している。
◇AVの独占企業に
オートモーティブ・ニュースによると、同社は1月、加州の規制当局に対し、これまでにない規模で商用ドライバーレス・サービスを開始する許可を求める要望書を提出。許可が下りれば、まもなくロサンゼルス都市圏全域とサンフランシスコ半島の大部分でウェイモ車両が客を乗せて走れるようになる。同社は現在、サンフランシスコとアリゾナ州フェニックス都市圏で事業を展開しており、この野心的な計画は、自動運転技術の普及努力を続けるというウェイモの強い意志を示している。
一方、競合他社は苦戦を強いられている。ゼネラル・モーターズ(GM)は最近、2024年はロボタクシー部門クルーズへの支出を10億ドル削減すると発表。アプティブも、現代(ヒョンデ)自動車と合弁で設立したAV事業モーショナルへの出資比率を引き下げ、今後はこの事業に投資しないと発表した。市場調査会社ロード・トゥ・オートノミーのグレイソン・ブラルテCEOは「事実上、ウェイモはAV分野の『スタンダード・オイル』(かつて米石油業界を独占した企業)になりつつある」と指摘する。
◇法案通れば計画に影響
しかし、ウェイモが州に事業拡大計画を含む書類を提出した数日前、デイブ・コルテージ州上院議員(民主)は、自動運転サービスの提供には運営する市や郡の認可を義務付けるという法案を提出している。現在、AVの公道配備や事業活動は、州の陸運局(DMV)と公益事業委員会(CPUC)が規制しているが、この法案が成立すれば、ウェイモの計画の開始時期や場所どころか、実施の可否までを決定する権限が地方自治体に与えられることになり、同社の大規模な事業展開計画が妨げられる可能性がある。
シリコンバレーの中心サンタクララ郡の大部分を選挙区とするコルテージ氏によると、新たな提案は州規制当局の権限の置き換えではなく補強であり「自分たちの道路を最もよく知る地域社会に権限を戻す意味がある」と語った。
州内の自治体は、特にサンフランシスコでロボタクシー絡みの大きな問題や事故が相次いだ後、AVの配備に関する地元の権限拡大を強く望むようになった。法案が成立すれば、ウェイモが事業の拡大を実現するには数十の自治体で条例が可決されるのを待たなくてはならなくなる。そうなれば商業展開で重要な利用者数の獲得にも影響しかねない。
ブラルテ氏は「例えば、隣町にいる親に会いに行きたい時に、その町に条例がなければウェイモを使って行くことができない。この法案はカリフォルニアのイノベーション経済に害をもたらす」と断じている。法案の審議は近く上院で始まる可能性があるが、採決までには時間がかかる見込みだ。
一方、州公益事業委員会はウェイモの事業拡大申請を検討し、2月20日までに申請の承認/却下/保留を決定する予定だという。決定は委員全体の投票ではなくスタッフによって下されるが、抗議があった場合は公開の会議で正式な投票が行われる。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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