電気自動車(EV)の選択ではブランドへの愛着より通信接続性(コネクティビティー)が優先されることが、マッキンゼーの最新調査で明らかになった。
◇消費者はオープンマインド
オートモーティブ・ニュースによると、調査は中国、ドイツ、米国の消費者1600人以上を対象に行われ、安全性、自動運転、インフォテインメント分野など39種類の通信機能について尋ねた。その結果、全地域の電気自動車(EV)ドライバーの57%が「より優れた接続性を得られるならブランドを変えてもいい」と答えた。米国では内燃エンジン車を含む消費者全体の38%が、中国では55%がそのように回答した。
マッキンゼーのベン・エレンスウェイグ氏は「よりエキサイティングなコネクティビティー・ソリューションの前では、高級車でもブランド忠誠心がなくなるのが興味深い」と指摘する。
調査結果からは、米国では自動車メーカーにとって試練と機会の両方が生まれていることが分かる。一方で、中国の自動車メーカーが車の基本構成に多くの接続性機能を盛り込んでコネクティビティーにおける新しい基準を構築しつつあることも示された。「アウディ・コネクト」や「BMWコネクテッドドライブ」のようなコネクテッドカー・サービスは高い評価を得ており、テスラは車とソフトウェアの円滑な統合で評価されている。
また調査では、消費者の心は開かれており、最高のコネクテッドカー・サービスを提供すればそのブランドに人気が集まる可能性があることも分かった。自動車体験の全く新しい側面を創造するような新しい製品を提供する企業に、成功のチャンスがあると言えそうだ。
◇抱き合わせのサブスクに関心
マッキンゼー調査は、いろんな面で従来の常識を覆している。例えば、多くの顧客は自動車メーカー純正のインフォテインメント・センターを強く嫌っているが、コネクティビティーとサブスクリプション(定額制の機能やサービス)収入に関してはもっと微妙な感覚を持っていることが示された。まず、回答者は単一の機能ではなく、複数を合わせたオプション購入に関心を示した。インフォテインメントのような人気機能を他の分野のコネクテッドサービスと合わせれば導入率が高まり、単独の場合より高額な商品を販売できる可能性があり、消費者は抱き合わせによる簡素化された購入体験に魅力を感じている。
また消費者は、機能を試したいと考えており、気に入らなければ数カ月後にサブスクリプションを解約できることも知っているし、一括払いよりもサブスクリプション利用を好む。
画面ミラーリング(スマホの画面を別のモニターに映し出す機能)に関しては、自分の携帯電話と車には互換性があるのが当然と考えられており、それがないと興味のある車を買わない要因になる。
現在のスマホは個人に合わせた設定が可能で、スケジュール管理や音楽鑑賞などさまざまなアプリや機能を統合したより良い体験を提供できるという優位性がある。ただし、自動車業界はそれをクルマでできるようにしようと取り組んでおり、クルマでの体験をうまく個別化する方法が見つかれば、消費者は純正のコネクテッドシステムに目を向ける可能性があると考えられる。
(U.S. Frontline News, Inc.社提供)
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