米商務省は4月8日、アリゾナ州における台湾積体電路製造股份有限公司(TaiwanSemiconductor Manufacturing Company=TSMC)の第3工場の建設資金を援助するために66億ドルという巨額を投資することを提案した。その資金源は、チップスおよび科学法(CHIPS and Science Act)にもとづいて拠出される。
同法のチップスとは、「Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors」の頭文字をつなげたもので、米国内での半導体の研究&開発と生産を促進するために総額約2800億ドルの助成金を有資格事業に投じるという内容だ。
テッククランチ誌によると、提案されたチップ工場は、いわゆるグリーンフィールド施設(独自設計によるカスタム建設)で、高性能電算や5G/6G通信、人工知能を含む多くの異なる用途向けに設計された2nm(またはそれ以降)のチップ構造に照準した最先端の設備と装置を備える。
TSMCの子会社で同計画の施主であるTSMCアリゾナは、2020年代末までに竣工したい考えだ。TSMCによると、同工場の建設によって2万件以上の雇用が同地域にもたらされ、稼働が始まれば約6000人の製造部門雇用が見込まれる。
米国のジョー・バイデン政権は、コーヴィッド19パンデミックによって世界供給網の脆弱性が浮き彫りになった結果、広範の産業界に打撃をあたえたチップの供給網混乱と不足を国家安全保障上の懸念と位置づけ、チップの国産化を推進している。
チップスおよび科学法にもとづく拠出がすでに決まっている事業は、インテルのような米企業の工場で占められる。そのため、TSMC工場計画への資金援助は異例であると同時に、地政学的要因から繊細な案件と位置づけられる。
TSMCの2大顧客がアップルとエヌビディアであることから、中国共産党の習近平国家主席による台湾侵攻への執着は、TSMCと米国にとって深刻な問題だ。TSMCの主要工場は台北と中国にある。中共が台湾を侵略すれば、米技術業界が大きな打撃を受けることは必至だ。
マサチューセッツ州選出のセス・モールトン下議は、「中国が台湾を侵略したらTSMCの施設を爆破する、と中国にはっきり言うべきだ」と発言したほど、チップ生産の外国依存は危険視されている。モールトン氏はそれについて、中共が対米批判を煽るために切り取っている、と説明した。
しかし、トランプ政権で国家安全保障顧問を務めたロバート・オブライエン氏も、「米国とその同盟国らは、チップ工場群を中国の手にわたすつもりはない」と述べており、中共が台湾を侵略すればチップ工場を破壊すべきという考えを暗示した。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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