パリで開幕した2024年夏季五輪大会は、人工知能技術がもっとも活用される五輪大会と言える。
ユーロニュースによると、今大会の公式人工知能プラットフォーム提携社の一つであるインテル(Intel)は、スタッド・ド・フランスに身体能力測定ブースを構え、観客たちのあいだで話題となっている。そのほか、選手向け生成人工知能チャットボットや観客向け人工知能も今大会では広く活用されている。
インテルの同ブースでは、客が暗い箱のなかに入ると明るい照明で照らされ、カメラが身体測定し、客がその場で全力疾走したり、器具を思いきりにぎったり、点滅する照明にすばやく触れたりすることで、身体能力の測定値をすぐに知ることができる。
同技術は、人工知能を使って身体の長所と短所に冠するデータを収集かつ分析し、参加者が12のスポーツのうちどれに向いているかを特定する。そのため、将来の優秀な運動選手の発掘と育成を効率化する技術と期待される。
同技術は五輪大会にさきだって、国際五輪委員会(IOC)の協力のもと、セネガルで試験された。セネガルの1000人以上の若者が参加し、非常にすぐれた身体能力の持ち主である48人が同技術によって選定され、セネガル国内五輪委員会が運営する選手育成制度に参加することになった。
一方、選手向け生成人工知能チャットボットは、出場選手たちが大会期間中に快適に過ごせるよう支援する。たとえば、インテルが構築した同チャットボットは、パリ市内での移動手段や食事場所、家族証明手続きといったさまざまの質問に即答する。参加選手らはそれによって、長い説明書を読む手間や、面倒な事務的障壁にわずらわされることから解放される。
選手たちはまた、ソーシャル・メディア・プラットフォーム群を監視する人工知能ツールの恩恵も受けている。IOCは、ソーシャル・メディア上で選手を誹謗中傷したり脅迫したりといった投稿を自動検出して旗立てし、担当者らによる迅速な対応にあたっている。
インテルはそのほか、観戦者たちのために人工知能によるハイライト機能を提供している。従来、ハイライトはタグづけとクリッピングといった手作業で行われていた。インテルはそれを人工知能技術で自動化した。同社のハイライト自動生成システムは、あらゆる試合の重要な一瞬をとらえ、各放送局に即時転送される。同システムは、過去の五輪大会の膨大な量の試合動画で訓練された。
さらに、パリ大会の公式時計会社オメガ(Omega)は、正確な結果を保証するために、人工知能を搭載したツールや機械視認カメラによって陸上や競泳、飛び込みの選手の動きを追跡し、接戦の判定を迅速化かつ自動化している。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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