ハリウッド俳優ら、自分の声の商業化に本腰 〜 メタ、生成人工知能の音声として使用契約に大金を投じる

メタ・プラットフォームス(Meta Platforms)は、新たな人工知能ツール(人工知能アシスタント)群を受け入れるよう利用者たちを説得するために、有名人の協力を得るのに大金をつぎ込んでいる。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、メタは9月25日、俳優のオークワフィーナやジョン・スィーナ、ジュディー・デンチ、クリステン・ベル、キーガン=マイケル・キーと声使用契約を結んだと発表した。関係者によると、メタは音声人工知能ツール群の音声として俳優たちの肖像権(声)を使う見返りに数百万ドルを払う。

メタは、新たなチャットボット群を発表したばかりで、俳優らは、自身の声が生成人工知能に使われる機会を新たな収入源にしたいと考えている。

技術大手らは、音声人工知能の声に有名人を起用することで利用者獲得を強化したいと考えている。

メタの場合、同社初の拡張現実めがねの試作品「オライオン(Orion)」を発表したほか、10月には複合現実ヘッドセット「クエスト(Quest)」を発売する予定だ。また、レイバンとスマートめがねも共同開発しており、新機能を発表したばかりだ。

それらの機器には仮想執事(人工知能アシスタント)が搭載され、自然言語による即時翻訳や質疑応答といった機能が提供されるとみられる。その仮想執事の音声として使われるのが俳優たちの声だ。

俳優らは、自身の声が人工知能によって乱用されることを避けようと考えている。また、自分の声が人工知能によって悪用された場合に責任を問われないようにしたいとも考えている。2023年には、人工知能を使ったコンテントに関する肖像権をめぐってハリウッド労働組合が製作会社らと対立しストライキにも発展し、人工知能が懸念事項の一つになっている。

メタは、人工知能チャットボットの声にスヌープ・ドッグやパリス・ヒルトンといった有名人の声を使う契約を2023年に発表していた。今回の契約は、メタがその動きを加速させていることを示す。

俳優の声を生成人工知能ツールに使うことは、オープンAIとスカーレット・ヨハンソンの対立によって注目されるようになった。オープンAIが市場投入した仮想執事「スカイ」の声がヨハンソンの声に酷似していたためだ。オープンAIは、スカイの声をヨハンソンに似せる意図はなかったと説明したが、ヨハンソン側は同社を非難する声明を出した。同社はそれを受けて、スカイの声を変更した。

メタの動きは、そういった問題を回避することもねらいの一つであることを明示する。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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