外食業界従事者や経済学者らは、自動化技術が雇用機会を奪う可能性に懸念を示してきたが、飲食店におけるロボティクスの試験運用が急増した近年、自動化技術が雇用機会にあたえる影響はそれほど大きくないという見方が強まっている。
アイオワ・キャピタル・ディスパッチ紙によると、外食産業向け技術はこの数年ほど、指触操作画面のほか、人工知能を活用した注文、調理ロボット、配達ロボットといった多岐にわたる。実験的には、配膳ロボットやロボティック・バーテンダーも登場しており、将来的には出前運転ロボット(自動運転車ではない)の可能性もある。
労働経済学者らによると、外食業界での一般的な自動化技術は、カリフォルニアのチポートレ(Chipotle)で導入されたばかりの「協働型」ロボットが主流になるとみられる。チポートレでは、アボカドを割ってワカモレにするオートカード(Autocado)のほか、従業員がブリトーやタコス、ケサディーヤをつくるあいだにボウルとサラダをつくる流れ作業を部分的に自動化するオーグメンテッド・メイクライン(Augmented Makeline)を実験中だ。
チポートレによると、モバイル注文の65%はサラダかボウルだ。オーグメンテッド・メイクラインの目的は、協働型ロボットによって従業員とロボットの分業を確立し、効率性とデジタル注文の正確性を向上させることだ。その結果、従業員への負担を軽減しながら生産性と正確性を向上させ、最終的には顧客満足度を高められる、と同社のカート・ガーナー最高顧客および技術責任者は話した。同氏によると、従業員が仕込みと接客に時間を割けるようにし、それ以外の部分をロボットが負担する。
同社は、ロボティクス新興企業のヴィーブー(Vebu)への投資にともなってオートカードを共同で設計した。チポートレはさらに、食品サービス・プラットフォーム新興企業のハイフン(Hyphen)に投資し、オーグメンテッド・メイクラインをチポートレ向けにカスタマイズした。
経済政策研究所の低賃金労働市場経済学者ベン・ジッペラー氏は、自動化技術やロボットが外食産業の雇用を脅かすという初期の懸念について、現実ではないと指摘する。同氏はさらに、自動化技術の導入によって作業効率と利益率が上がるという分析結果も出ており、それによって値上げを回避するのに役立っている、と話した。
(Gaean International Strategies, llc社提供)
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