EV需要減速で、ミシガンの電池工場計画にも変化

ミシガン州では過去3年間、数十億ドル規模のEV電池工場建設計画がいくつか発表されていたが、EV需要の低迷で計画の縮小や撤退も生じている。

◇フォードは規模縮小

オートモーティブ・ニュースによると、フォードが2023年初頭に発表した、35億ドルを投じてマーシャルに電池工場を建設し2500人を雇用する計画は、同年後半に規模が約3分の2(22億ドルと雇用1700人)へと縮小され、州は最終的にこの事業に対する金銭的優遇を10億ドル超から4億910万ドルに削減した。規模を縮小した工場の建設は24年7月時点で20%以上進んでおり、フォードは中国の電池大手CATL(寧徳時代新能源科技)の協力を得て、26年にリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池パックの生産を開始する予定だ。

◇ONEは経営難で一次中断

アワ・ネクスト・エナジー(ONE)は、新興EV電池メーカーとして脚光を浴びたものの経営難に陥り、重要な資金調達ラウンドで投資家が難色を示したため、人員削減、経営陣の交代を実施した。ミシガン州バンビューレンに16億ドルを投じて2112人を雇用する工場を建設する計画も中断している。

同社は24年6月、鴻海(ホンハイ)精密工業と戦略提携して生き残りを目指していると報じられたが、状況は不明だ。広報担当者は「工場建設を支援する州の戦略的支援・誘致準備基金(SOAR)から今も助成金を受けており、27年までに完成・稼働する予定の同施設に関する基準を満たす限り、今後も計画は継続する」と話している。

◇ゴーションは訴訟や反対運動に直面中国の電池大手ゴーション(Gotion)は、22年にビッグラピッズ近郊で24億ドルの工場(2350人を雇用)を建設する計画を発表したが、計画は訴訟や地域住民の反対運動、州議会から連邦議会に広がる激しい反中発言、地元自治体の理事会に対するリコール運動などを引き起こした。工場の予定地や面積は何度も変更され、グリーンチャーター・タウンシップとの訴訟はまだ続いているが、ゴーションはプロジェクトを継続しているようで、24年初めには工場用地の造成を開始し、夏の終わりには工場建設を認める重要な判決を勝ち取っている。

◇LGESは投資継続

韓国の電池大手LGエナジー・ソリューション(LGES)は近年、州西部のホランドでいくつかの大規模な投資を行っている。同社は23年、ホランド工場に30億ドルを投資し、トヨタのケンタッキー工場向けに電池を製造すると発表。同時にホランドでは17億ドルの拡張工事を終え、さらに25億ドルの拡張工事の準備を進めている。

また、ランシングでは最近、近く合弁事業から撤退するGMと共同で建設した電池工場も完成しており、GMの撤退後はこの工場を使って北米トヨタに電池を供給することを検討している。広報担当者は「ランシング工場の買収は 、北米での投資を最適化し、世界の自動車メーカーのニーズにも対応するという目標に合致する」と話している。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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