将来のAVはブランド色がより鮮明に

将来の自動車は、自律走行するだけではなく、自動車メーカーがソフトウェアや人工知能(AI)を使って独自のドライビングスタイルを打ち出すようになると、業界幹部らはみている。

◇ポルシェはスポーツ走行を追求

ウォールストリート・ジャーナルによると、すでに半導体大手エヌビディアは、自動車各社がそのブランドらしい運転システムを構築できるよう、AIベースの技術を開発しており、メーカー自身もこの分野に力を入れている。

ポルシェの場合、未来の自動運転車(AV)ではドライバーにレース場の緊張感をリスクなしで味わってもらいたいと考え、よりアグレッシブに、より車両の限界に近いオンロード走行を、より正確に行えるようにする計画だ。

完全自動運転までの道のりは長いが、同社はすでに「イノドライブ(InnoDrive)」と呼ぶ車間距離制御機能(ACC)で、安全にパフォーマンスを向上させる運転支援システムを試験導入している。このシステムは、先行車との車間距離を一定に保ち、車線を維持し、必要に応じて完全に停止しながら、設定された速度まで自動的に車両を加速/減速させる。

「ノーマル」「スポーツ」「スポーツプラス」という異なるドライブモード設定によって、前の車に合わせて速度を変える勢いや、高速道路のランプ(らせん状の傾斜路)のようなカーブで乗員にどれだけの重力を感じさせるかなどを調整できる。

◇ボルボは安全性を重視

一方、人命を救う技術開発のパイオニアであるボルボは、AVでも安全性を最優先する。過去60年間に何万件もの事故現場を視察してきた事故調査チームが収集したデータを使ってAVを訓練し、道路の種類や状態、ドライバーの行動、車両の安全システムの反応に関するデータを、事故への備えや回避に役立てている。

また、ボルボのAIは自然言語によるコマンド(指令)を解読し、オーナーは「前の車を追い越してくれますか」「前の車の運転は不快なのでもう少し離れてくれますか」といった指示もできるようになる。さらに、光、音、テキストなどで、車が他の道路利用者と明確に意思を取り交わし、安全を確保するための手段も開発中だ。

◇リビアンは冒険心を刺激

リビアンは、人々をいろんな場所に行く気にさせ、将来のAVに冒険心を加えたいと考えている。心躍る体験をより楽しくまたは体験しやすくするため、例えばオフロード走行では、カメラ、レーダー、オンライン地図データを使って地形や通行の可否を検知して、自動的に適切なドライブモードを選択し、車内のスクリーンやフロントガラスのディスプレイにこれから行く道の走破方法を表示する。

行き先でマウンテンバイクやカヤックを使う場合は、活動のスタート地点に乗員を降ろした後で車が自動運転で終了地点まで移動し、乗員を待つことができる。

また、景色の良い静かな経路を提案し、車外カメラ、車載Wi-Fi、拡張現実ディスプレイを使って環境に溶け込む豊かな車内体験を映し出し、風景に関する歴史的な画像や地質学的データ、経路の選択肢をレイヤー表示したり、風景やランドマークを録画し、ビデオ編集してソーシャルメディアに投稿することもできる。

(U.S. Frontline News, Inc.社提供)

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