化石燃料集積都市のヒューストンにAI工場という新たな顔 〜 アップルやエヌビディアらによる拠点開設で変わり始める産業構造

テキサス州ヒューストンの産業界は長年にわたって製油所と化学工場によって占められてきたが、技術大手らによるテキサスへの拠点移転や生産施設整備によって、技術製品の組み立てといった業界の存在感が強まっている。

ヒューストン・クロニクル紙によると、技術産業界の集積都市という新たな顔がヒューストンに加わるかどうかはまだ不透明だが、昨今の事業環境や国際供給網、マクロ経済、国際政治の動向はその可能性が高まっていることを示唆している。

ヒューストンは、オースティンのような技術集積都市の影に隠れて久しいが、製造業復活の舞台に踏み出そうとしている。それによって何千件もの雇用機会が生まれる可能性や、工業用および住宅用不動産の需要喚起の可能性も高まっている。

その動きを象徴するのは、アップル(Apple)やエヌビディア(Nvidia)、テスラ(Tesla)によるヒューストンへの投資だ。ただ、ヒューストンの技術集積都市化は、その黎明期のなかのさらに初期段階にあるため、昨今の動きが継続的な現象なのか一過性のものなのか判断できない。

また、ヒューストンが大規模の技術拠点になるための道のりは、世界供給網の混乱や関税、不況懸念、物価上昇、製造部門リショアリング(国内回帰)、人材といったさまざまの要素が作用しあって複雑化している。

エヌビディアが4月に発表した人工知能スーパーコンピューターのヒューストン工場建設計画や、アップルが25万平方フィートの人工知能サーバー施設を2026年までにヒューストンに開設するという計画は、米政府による関税引き上げにへの対応策とみなされがちだが、両社はヒューストンに投資する計画をトランプ関税発表前から検討していた(関税を見越していた可能性もある)。

そのほか、アップル・アイフォーン受託生産大手でありエヌビディアとも協業する台湾フォックスコンは、数ヵ月前からヒューストン拠点の拡大に取り組んでいる。

アイフォーンやアイパッド、マックブックの組み立てをフォックスコンに外注してきたアップルは、需要がさらに強まると予想される人工知能サーバーの生産もフォックスコンに外注する方針だ。その米市場向けをヒューストンで組み立てるというのが両社の計画とみられる。

問題は、十分な数の技能工員たちを確保できるかどうかだ。近年の工場では、むかしながらのネジ締めといった古典的工程はほぼない。その代わり、自動化機械と工員が協働するという形態が主流化している。工場側はそのため、自動化機械の操作や組み立てラインの監督といった職能の訓練を工員たちに提供しなければならない。

テキサス大学オースティン校のテキサス先進電算センターのダン・スタンジオーン代表は、生産施設の自動化が進むほど労働集約型の労働力への依存度が下がるため、中国への依存度も下がる、と指摘する。何千人もの労働者を必要とするむかしの工場とは異なり、最新の技術製品工場では、ロボット群や多種多様の自動化ソフトウェアを使うことで、生産から保守、整備、工程管理まで最小限の労力で実行できる、と同氏は話している。

(Gaean International Strategies, llc社提供)

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